カウンターポイント・リサーチ・エイチ・ケー(英文名:Counterpoint Research HK、以下カウンターポイント社)は、世界のスマートフォンの出荷が2024年第2四半期に前年同期比で8%増加したとする調査結果を含む、Market Monitor Serviceを発表いたしました。消費者心理とマクロ経済状況とが改善したことをうけて、ほぼすべての地域で出荷が増加しています。これで世界のスマートフォン市場は3四半期連続での成長となりました。

 

市場全体の動向についてシニアアナリストのPrachir Singh氏は次のようにコメントしています。

「主要地域が回復基調にあることで、スマホの出荷は大きく伸びた。カリブ・中南米地域(CALA)の成長は最も速い。中国メーカーが積極的に売っていることに加えて、もともと小さな市場で需要が高まったせいもある。欧州とアジア太平洋地域も二桁成長した。618商戦(中国大手ECサイトが創立記念日に実施する巨大なEC商戦)では、Apple iPhoneも含めて大幅な値引きが実施され、大きな売上が記録された。そのおかげもあって、中国市場も成長した。欧州各地域でも消費者心理が改善した。それが出荷の伸びとして現れている。とくに西欧は、中欧・東欧地域(CEE)よりも速く成長している。中東・アフリカ地域(MEA)でも一桁台の成長となった。ここでは経済環境が改善したことと、中国メーカーの積極攻勢が効いた。そんななか、インドはわずかながら出荷が減少した。これは季節性のものだが、厳しい熱波もそれに追い打ちをかけた。」

出典:Market Monitor – Market Analysis and Insights, Q1 2024

 

世界のスマートフォンの売上も2024年第2四半期に前年同期比8%伸びました。Appleが売上ベースでのスマートフォン市場をリードし、42%のシェアを獲得しています。ASPも出荷も伸ばしたSamsungの売上は、前年同期比5%伸びました。トップ5社の中では、Xiaomiの売上の伸びが、2四半期続けてもっとも大きくなっています。同社の主要市場で好調が続いているからです。トップ5社以外の売上も、Huawei、HONOR、Motorola,

Transsionグループのおかげで大きく伸びています。800米ドル(約12万円)超のセグメントは前年比2%ポイントのシェア増と、400米ドル(約6万円)以下のセグメントからシェアを奪って伸びています。

出典:Market Monitor – Market Analysis and Insights, Q1 2024

 

Appleの業績について、リサーチディレクターのJeff Fieldhack氏は次のようにコメントしています。

「北米のキャリア各社が、買い替え率が記録的な低さになっておりiPhoneの販売が低調だと発表して以来、iPhoneの台数が期待外れに終わるのではないかという懸念が生まれている。Proシリーズの販売は伸びているものの、Apple iPhone全体では台数は横ばい、売上は前年同期比で1%下がるのではないかとみている。Appleの中国販売は6.5%下がったが、もしかしたらもっとひどい結果だったかもしれない。618商戦期間中の魅力的な値引き価格のおかげで、Appleの中国での売上は改善して救われたからだ。それでもAppleの今後の見通しは揺るがない。iPhone 16ファミリーへの関係者の期待が従来以上に高いうえに、Apple Intelligenceへの期待感も大きいからだ。」

 

Samsungはこの四半期、世界のスマートフォン出荷で首位に立ちました。Galaxy Aシリーズが好調なうえに、Galaxy S24シリーズの勢いも衰えていません。私たちの最新調査では、Samsungはベストセラートップ10機種に5機種がランクインしています。トップ5社の中では、Xiaomiがもっとも速く成長しており、vivoがそれに続きます。XiaomiにとってはMEAとCALA地域が成長のドライバーとなっており、これに加えて従来の同社の市場である中国、インド、アジア太平洋の諸国でも勢いが出てきました。もう一方のvivoにとっては、中国が依然として成長のドライバーになっており、これにインドと東南アジアでの好調が上乗せされています。これ以外の主要メーカーの中ではHuawei、HONOR、Motorola、Transsionがこの四半期に伸びました。Huaweiは中国で相変わらず勢いが強く、それが同社の成長につながっています。HONORは中国での高いシェアに加えて、CALAとMEAで成長しました。TranssionグループのブランドであるTECNO、itel、Infinixは東欧、インド、MEAで業績好調でした。また、Motorolaにとっては、インド、CALA、北米市場が成長のドライバーになっています。OPPOは若干出荷が落ちましたが、これはOnePlusの出荷が落ちたことによります。OnePlusは同社の主要市場で厳しい競争に直面しています。

 

短期的な見通しについて、リサーチディレクターのTarun Pathak氏は次ようにコメントしています。

「出荷ベースでみれば、今起きているのは世界のスマートフォン市場のゆっくりした回復だ。一方、高級機指向のトレンドが続いていることと、AIブームとを考えると、ASP(平均売価)と売上高はこれからの数四半期上昇するだろう。スマートフォンは、AIの民主化に最適なプラットフォームだ。とりわけ、生成AIはスマートフォンに革命を起こすだろう。それぞれのユーザー個々に合わせた使い勝手を提供し、機能を強化し、より直感的に使うことができるようになる。生成AI搭載機種のシェアは2024年中にスマートフォン出荷全体の18%に達するだろう。」

 

*OPPOの数字は、2021年第3四半期以降、OnePlusの数字を含んでいます。

注:価格はメーカー卸値を用いて計算しています。

 

 

【カウンターポイント社概要】

カウンターポイント社(英文名Counterpoint Research HK)はTMT(テクノロジー・メディア・通信)業界に特化した国際的な調査会社である。主要なテクノロジー企業や金融系の会社に、月報、個別プロジェクト、およびモバイルとハイテク市場についての詳細な分析を提供している。主なアナリストは業界のエキスパートで、平均13年以上の経験をハイテク業界で積んでいる。

公式ウェブサイト: https://www.counterpointresearch.com/