• 日本は乗用車について最も速く成長している市場のひとつである。
  • しかしBEV(バッテリー駆動電気自動車)の販売は極めて低く、2023年上半期における日本でのシェアは2%に過ぎない。
  • 中国メーカーは、日本の自動車市場で未だに足がかりを作れていない。
  • 日本における5Gによるコネクティビティは、2030年末までに92%に達するとみられる。

 

日本の自動車市場は世界で最も速く成長している市場のひとつである。Counterpointが提供するGlobal Passenger Vehicle Model Sales Trackerの最新調査によれば、2023年上半期に日本における乗用車販売は前年同期比27%増加した。トヨタは国内市場の首位で50%ものシェアを獲得している。これにスズキと日産ルノー連合が続く。日本の自動車メーカー、すなわちトヨタ、ホンダ、スズキ、スバル、マツダ、日産ルノー三菱連合は、合わせて日本における乗用車販売の90%を超える。中国メーカーにとっては、参入して大きな成果を出せていないのは、米国に続いて日本が2か国目である。2023年に中国メーカーのBYD AutoがAtto 3 EVを日本市場に投入したが、売れたのは1,000台程度に過ぎない。

 

日本におけるEVの普及について、シニアアナリストのSoumen Mandalは以下のように述べた。

「2023年上半期には、バッテリー駆動電気自動車(BEV)の日本における販売は、乗用車販売全体の2%であった。一方でハイブリッド電気自動車(HEV)の販売は堅調である。日本は乗用車販売すべてをなんらかの電動バージョンに2035年までに移行させるという野心的なゴールを掲げており、さらに2050年までにゼロ・エミッションを達成しようとしている。日本政府は、BEV、プラグイン・ハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCEV)の購入への補助金という形で、インセンティブを提供している。米国のインフレ抑制法案(IRA)にヒントを得て、日本政府は税控除も2024年から施行しようとしている。そんな中で、国内の主要メーカーであるトヨタ、ホンダ、日産、スズキ、三菱、スバル、マツダは各社のEV戦略を公表した。遅まきではあるが、8月までにほとんどのメーカーが具体的なプランを明らかにした。」

出典: Global Passenger Vehicle Model Sales Tracker

自動車のコネクティビティの動向について、アソシエイトディレクターのBrady Wangは以下のように述べた。

「日本でBEVの市場シェアが低いのとは対照的に、車へのコネクティビティの搭載はかなり進んでいる。2023年上半期に販売された乗用車のほぼ半数にコネクティビティが搭載されていた。車載のコネクティビティによって、ナビゲーション、車両の重要データのモニタリング、音楽やビデオのストリーミングなど、多彩なサービスが提供できる。加えて、ADASの高レベル規格では、しばしば車載コネクティビティによるリアルタイムのデータ通信が必要になる。2030年までに日本の乗用車の新車販売の90%以上がコネクティビティを表jん装備するとみられる。」

出典: Global Passenger Vehicle Model Sales Tracker

Wangはさらに以下のように続けた。

「いまのところ乗用車向けの5G接続はニッチだ。ごく限られた車種を除けば、日本の自動車は4Gで接続している。5Gを純正で搭載しているのは、BMW six、BMW i4、それにBYD Atto 3である。しかし、2030年末には日本での5G接続は92%に達するとみられる。」

 

 

【カウンターポイント社概要】

カウンターポイント社(英文名Counterpoint Research HK)はTMT(テクノロジー・メディア・通信)業界に特化した国際的な調査会社である。主要なテクノロジー企業や金融系の会社に、月報、個別プロジェクト、およびモバイルとハイテク市場についての詳細な分析を提供している。主なアナリストは業界のエキスパートで、平均13年以上の経験をハイテク業界で積んでいる。

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