世界のセルラーIoTモジュールの出荷は、2024年第2四半期に前年同期比で11%、前四半期比で6%成長したとする最新調査結果を含むGlobal Cellular IoT Module and Chipset Tracker by Applicationを、カウンターポイント・リサーチ・エイチ・ケー(英文名:Counterpoint Research HK、以下カウンターポイント社)が発表いたしました。この成長は、主に中国とインドでの強い成長によるものです。一方、他の市場では弱い動きが続いています。市場動向について、シニアアナリストのTina Lu氏は次のように述べています。

「中国は、しっかり25%の伸びをみせた。これはPOSの成長があるからだ。特に、通称サウンドボックス(持ち運び可能な小型POS端末)の伸びが著しい。加えて、自動車向けとアセット・トラッキング(物品や設備の場所管理)の伸びもある。これとは対照的に、中国国外の市場は前年同期比5%減となっている。需要が低いうえに、顧客側で在庫がだぶついているからだ。それでも、自動車、テレマティクス、ルーター/CPE(顧客の構内に設置するネットワーク機器)、PCの各セクターは、中国以外でも伸びをみせている。技術の面でいえば、4G Cat 1 bisの勢いが続いており、昨年と比べて世界での出荷は倍増した。4G Cat 1 bisの平均売価(ASP)は、この1年で半額になり、スマートメーターやサウンドボックス用途にとってさらに魅力的になっている。」

 

出典:Global Cellular IoT Module and Chipset Tracker

 

  • Quectelは首位を維持しており、China MobileがFibocomに代わって第2位になりました。Fibocomは第3位に後退しています。これら3社合わせて、2024年第2四半期の世界の市場の過半を占めています。中国国外では、Telit CinterionがQuectelに次ぐ第2位を守っています。
  • Lierdraは、初めて世界のトップ5社にランクインしました。Cat 1 bisのアプリケーションであるPOS(特にサウンドボックス)、スマートメーター、セキュリティカメラが大きく伸びており、その恩恵を受けました。Lierdaは国内のチップセットメーカーと提携し、安価なモジュールを提供しています。この結果、中国国内の小規模なベンダーからシェアを奪うことができています。
  • 大きなポイントは、中国のモジュールメーカーが価格競争力を武器に台頭してきたことです。特にインド、アフリカ、中南米などの新興国で、中国メーカーのシェア拡大が顕著にみられています。競争力を保ち、成長する中国市場でプレゼンスを維持するためには、各国のメーカーはモジュールのASPを下げて対抗する必要があります。

 

チップセットメーカーの動きについて、リサーチアナリストのSubhadip Roy氏は次のように述べています。

「世界のセルラーIoTモジュール向けチップセットの市場では、Qualcommが首位を守り、ASRとUNISOCがそれを追っている。ASRはここ数年で急成長し、シェアを倍増している。これは同社の4G Cat 1 bisチップセットが成功したからで、2024年第2四半期のこのセグメントのほぼ半分を占めた。Qualcomm、MLink、UNISOC、MediaTek、HiSiliconは5G RedCapチップセット(5Gのフル機能ではなく必要最低限に絞った規格)を発売した。中国でアーリーアドプター層の採用が始まっているだけでなく、米国のキャリアにも動きが出始めている。今のところ5G RedCap対応モジュールの価格は4G Cat 4モジュールのほぼ倍なので、この価格がどう推移するかが5G RedCapの普及に大きく影響する。」

 

 

【カウンターポイント社概要】

カウンターポイント社(英文名Counterpoint Research HK)はTMT(テクノロジー・メディア・通信)業界に特化した国際的な調査会社である。主要なテクノロジー企業や金融系の会社に、月報、個別プロジェクト、およびモバイルとハイテク市場についての詳細な分析を提供している。主なアナリストは業界のエキスパートで、平均13年以上の経験をハイテク業界で積んでいる。

公式ウェブサイト: https://www.counterpointresearch.com/