SK hynixの好調は、相変わらず、HBMメモリ(High Bandwidth Memory; DRAMを積層することで高い転送速度を実現したメモリ)が支えています。2025年第1四半期には、同社は業界予想を上回る業績となりました。HBMは数量においては同社のDRAM全体の14%ですが、売上では44%に達し、DRAMの営業利益全体の54%を稼いでいます。HBMがいかに儲かるかがうかがえます。当社ではこの勢いは年間を通じて続くとみており、第1四半期のHBM出荷は通年の20%に過ぎないことから、今後の成長の余地は十分にあります。
DRAMの利益率は、これまで、需給変動などによるビジネスサイクルとメーカー間のシェア争いとに大きく依存してきました。その傾向はさらに増しており、いわばチキンゲームの様相を見せています。しかし、SK hynixの第1四半期の収益をみると、同社がAI関連の世の中のイノベーションの波をうまくとらえていることが、よくわかります。AIに使用されるHBMの需要が強いことから、同社は、いつもなら低調なこの四半期にもしっかりと利益をあげています。
同社の従来型DRAMの部門も、強さを見せており、利益率は40%を優に超えています。これはメモリ商品のポートフォリオをAI関連に合わせて最適化したことと、厳格なコスト管理とによるものです。それでも、先行きは不透明です。関税の影響や、経済活動の減速への懸念があるからです。こうしたことから、投資家は前年同期比成長率よりも各四半期の業績の予実の変化を重視することになるでしょう。同社の成長が予測軌道に沿っているかに関心があるからです。
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