世界のNADモジュール市場、2025年第1四半期は前年比14%増加:中国の5G拡大とNTN技術が牽引
【ソウル、北京、ブエノスアイレス、香港、ロンドン、ニューデリー、サンディエゴ、台北、東京 – 2025年6月26日】
カウンターポイント・リサーチの最新の「グローバル自動車NADモジュール&チップセットトラッカー」によると、2025年第1四半期における世界の自動車NAD(Network Access Device)モジュール出荷量は、前年比で14%増加しました。Fibocom、Quectel、Continentalといった主要ベンダーの成長が、この市場拡大をけん引しました。
とりわけ中国では、BYDやNIOといったEVメーカーの牽引により、5G NADモジュールの出荷が前年同期比で134%増加し、世界市場における5Gの普及をリードしています。一方、中国以外の地域における5Gの採用は、依然として限定的(約5%増)にとどまっています。
市場動向の詳細
・世界のNADモジュール出荷量は、Fibocom、Quectel、Continentalの成長により前年比14%増加しました。
・中国は5G NADの出荷でリードしており、BYDやNIOなどが成長をけん引しました。
・Qualcommは引き続きNADチップセット市場をリードしていますが、MediaTek、Hisilicon、Samsungなどの参入も進んでいます。
・5G RedCapおよび衛星通信技術(NTN)は、次世代の自動車向け通信技術として注目されています。
Global NAD Module Shipments Share by Region, Q1 2025
Source: Counterpoint Global Cellular NAD Module & Chipset Tracker, Q1 2025
市場の背景と展望
自動車業界では、車載ソフトウェアの定期的な更新やコネクティビティサービスの収益化が進む中、NADモジュールの重要性が増しています。こうした背景から、エントリーレベルやミッドレンジ車両においても、組み込み型のコネクティビティが標準装備となりつつあります。
現在のOEMテレマティクス向けNADモジュールは、主に4G Cat 4が主流ですが、L2 ADAS以下の車両においては、低コスト・低消費電力の5G RedCapが主流となる見込みです。SAEレベル4および5の車両には、5Gのフル機能が必要とされる一方で、販売される車両の多くはレベル3以下であることから、RedCapがライトインフォテインメントや基本的なV2X機能を担うことになると見られています。
衛星通信NTNの台頭
地上ネットワークのカバレッジが不十分な地域において、自動車メーカーは衛星通信(NTN)を活用し、緊急通報(eCall)やSOSなどの機能の提供を開始しています。こうした機能の導入は、サプライチェーン全体での連携によって実現されており、SkyloはQualcommやMediaTekなどのチップセット企業、Rolling WirelessやLG Innotekなどのモジュール企業、そしてHarmanなどのTCUサプライヤーとともに、衛星NTNのソフトウェアスタックを統合しています。
規制と普及への課題
5G、5G RedCap、NTNといった技術は、今後のNAD市場をけん引する柱となりますが、グローバルでの普及にはいくつかの課題も存在します。規制当局による認可体制、価格競争、OEM側の導入体制の成熟度などが、次世代ソリューションの普及ペースを左右すると見られています。
レポート全文は以下のリンクよりご覧いただけます:Report Link
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