カウンターポイント・リサーチ・エイチ・ケー(英文名:Counterpoint Research HK、以下カウンターポイント社)は、バッテリー駆動電気自動車(BEV)の販売台数は1,000万台の大台に2024年内に到達し、世界の乗用車市場における大きなマイルストーンになる、とする調査結果を含むGlobal Passenger Vehicle Forecast by Powertrainを発表いたしました。このマイルストーンへの到達と時を同じくしてエンジン車(ICE; 内燃機関エンジンの車両)の長期減少傾向も再び明らかになり、今後4年間でそのシェアは50%を切ると予想されています。

 

2024年に一時的な減速はあったものの、既存の自動車メーカーが収益性の問題に取り組むことをうけて、BEVの販売は成長するとみられています。製造プロセスの革新やバッテリーメーカーとの戦略的提携によって、製造コストを下げ、値ごろなEVを提供し、サプライチェインを強固にしようとする動きも、この成長を後押ししています。

EVへのシフトについて、リサーチアナリストのAbhik Mukherjee氏は次のように述べています。

「サプライチェインを強化し、35,000米ドル(約550万円)以下の値ごろなEVの製造に備えている既存メーカーのFord、GM、Stellantis、Volkswagenなどは、市場のリーダー格と戦えるところまで来ている。各社の行っている戦略的なオーバーホール作業は、単に厳しくなる排ガス規制に対処するだけではなく、補助金制度を活用して利益を得たり、高まる消費者需要に応えたりするためでもある。だから、世界のBEV市場は2025年末から、再び活発に動くだろう。」

 

中国はBEV市場で相変わらず大きな存在感を示し、2024年のBEV販売は北米の4倍になると予想されています。それだけではなく、中国は、2027年までは世界のBEV販売におけるシェアが50%を超え、2030年のBEV販売は北米と欧州を合わせた数字よりも大きくなる見通しです。一方で、2025年からは欧州と米国で市場が立ち上がり、成長の牽引役となる見通しです。

 

BYD社のBEV市場シェアは2024年に跳ね上がり、Teslaを抜くとみられます。世界のEV市場が、いかにダイナミックかを物語っています。

 

EUに新しい関税率について、アソシエイトディレクターのLiz Lee氏は、次のようにコメントしています。

「EUが中国製BEVに課す新しい関税率は、低価格の中国製輸入車との競争を強いられてきた欧州のEVメーカーが、同じ土俵で戦えるようにするものだ。この結果、中国メーカーは中東とアフリカ(MEA)、中南米、東南アジア、オーストラリアとニュージーランドの各地域に向かうことになるかもしれない。EUと中国の協議は、特にドイツが対中国の追加関税に反対するなかで、EV市場の今後を左右する。いずれにせよ、その欧州と米国が2025年以降の成長を牽引するだろう。」

 

既存の自動車メーカーがEVの比重を増やすなかで、短期的には、プラグインハイブリッドEV(PHEV)とハイブリッド(HEV)から成る、いわゆるハイブリッド車が電動化セグメントでは大きな割合を占めることになります。厳格な排ガス規制を守るために、低コストのBEV製造プロセスやサプライチェインへの指導的立場を確立できるまでの間、各社はBEVの代わりにPHEVやHEVの販売を推進していきます。一連の動きは、充電インフラや送電グリッドの再構築といった、巨額の投資が必要な、より広く産業を巻き込んだ電動化の動きとも、歩調を合わせています。

 

*注:

ここでは販売とは卸しベースの数字、つまり各社の工場から出荷される時点の価格を指します。

EVとして対象としているのはバッテリー駆動EV(BEV)とプラグインハイブリッドEV(PHEV)です。

弊社のデータセクション(四半期ごとに更新)でも世界のEV市場シェアをご確認いただけます。

 

 

【カウンターポイント社概要】

カウンターポイント社(英文名Counterpoint Research HK)はTMT(テクノロジー・メディア・通信)業界に特化した国際的な調査会社である。主要なテクノロジー企業や金融系の会社に、月報、個別プロジェクト、およびモバイルとハイテク市場についての詳細な分析を提供している。主なアナリストは業界のエキスパートで、平均13年以上の経験をハイテク業界で積んでいる。

公式ウェブサイト: https://www.counterpointresearch.com/