車載ワイヤレス充電システム市場、2025年第1四半期は中国を中心に成長：前年同期比14%増
【ソウル、北京、ブエノスアイレス、香港、ロンドン、ニューデリー、サンディエゴ、台北、東京 – 2025年6月25日】
カウンターポイント・リサーチの最新の「グローバル車載ワイヤレス充電トラッカー」によると、2025年第1四半期の世界における車載ワイヤレス充電システムの売上高は、前年同期比14%増となりました。これは、中国での導入拡大に加え、欧州および中南米市場での採用が堅調に推移したことによるものです。
2024年第1四半期に53%であった車載ワイヤレス充電の普及率は、2025年第1四半期には56%にまで上昇しました。特に中国では、次世代EVメーカーによる採用の急増が追い風となり、売上高は前年同期比24%増となりました。
市場動向の詳細
・中国における導入拡大を背景に、2025年第1四半期の世界売上高は前年同期比14%増加しました。
・ADAYOは中国市場で圧倒的なシェアを獲得し、XiaomiやGeelyの高級ブランドGalaxyなどのEV新興勢力の成長から恩恵を受けました。
・欧州市場でもInvisPowerが、BYDおよびMGブランド車の販売好調によりシェアを拡大しました。
・中南米市場も前年同期比2桁成長を記録し、MobaseはHyundaiおよびKiaへの安定供給に加え、InvisPowerはBYDとの提携によって好業績を維持しました。
Global In-car Wireless Charging System Sales Share by Supplier, Q1 2025 vs Q1 2024
Source: Counterpoint Research Global In-car Wireless Charging Tracker, Q1 2025
専門家の解説
LGエレクトロニクスは引き続き市場リーダーの地位を維持しましたが、ADAYOは中国OEMの採用拡大を追い風にシェアを急速に拡大しています。四半期の成長率が最も高かったのはADAYOであり、InvisPower、Molexがそれに続きました。ADAYOは、Xiaomi、Galaxy（Geely）、Xpeng、Leapmotorといった新興EVブランドとの連携により国内市場を牽引しています。一方、InvisPowerはBYDとのパートナーシップや国際展開により成長を続けています。
サプライヤーの動向について、カウンターポイント・リサーチのシニアアナリストであるソウメン・マンダルは次のように述べています。
「中国自動車メーカーによるワイヤレス充電の採用が加速する中、中国のサプライヤーはグローバル市場で急速に影響力を強めています。これにより、中国国外のサプライヤーは、価格競争力や生産能力の面で対応が求められる状況となっています。」
欧州市場では、2025年第1四半期の普及率が前年同期比で最も高い伸びを示しました。中国OEMの進出により競争が激化する中、欧州の自動車メーカーも量販モデルにワイヤレス充電機能を搭載することで差別化を図っています。BYD、SAIC（MG）、長安汽車の好調な販売により、InvisPowerは市場シェアを拡大。日立LGはGeely Autoとの関係を強化し、成長を遂げています。
ラテンアメリカでも、2025年第1四半期は前年同期比で最も高い成長率を記録しました。中国OEMがこの地域での事業拡大を進める一方で、米国ブランドのシェアは減少。EVの販売増加が車載ワイヤレス充電の普及を後押ししています。InvisPowerはBYDとの連携を背景に勢いを維持し、MobaseはHyundaiとKiaへの供給に支えられ、前年比150%以上の成長を達成しました。
市場見通しについて、カウンターポイント・リサーチのアソシエイトディレクターであるグレッグ・バシッチは以下のように述べています。
「地政学的な緊張が高まる中、自動車メーカーおよびティア1サプライヤーは、ワイヤレス充電モジュールのような非中核部品についても、調達先の現地化や多様化を進めています。これらの機能は必須ではないものの、競争の激しい市場では差別化要素として重要性が増しています。中立的な調達先の確保は、サプライチェーンのリスク軽減およびレジリエンス向上に向けた重要な戦略となっています。」
さらに、中国メーカーは2024年に導入された現地規制を踏まえ、Qi 2.0の採用を回避しつつ、独自のワイヤレス充電規格を展開しています。グローバル市場において競争力を維持するためには、国際的なサプライヤーが高出力なソリューションやエコシステムとの互換性を持つユニバーサル規格の確立に注力する必要があると見られます。
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