旅行用eSIMが便利で安くつながりやすいことから注目を集めている、とする内容を含むConsumer eSIM Awareness surveyの調査結果をカウンターポイント・リサーチ・エイチ・ケー(英文名:Counterpoint Research HK、以下カウンターポイント社)が発表いたしました。この調査は、2024年9月に7か国で実施されたものです。一方、すでに利用したユーザーからはeSIMが必須だという声が聞こえるものの、認知度の低さと難しそうというイメージとが、利用の障壁となっていることも、明らかになりました。
調査は、米国、カナダ、英国、フランス、ドイツ、ポーランド、日本でそれぞれの母国語で実施され、合計3,535名が回答しました。旅行用eSIMを使用したユーザーの87%が、旅行用eSIMを「重要」または「極めて重要」と回答しており、実際に使用したユーザーが価値を高く評価していることがわかります。すぐにつながる便利さと、高額なローミング料金を避けられることとが、旅行用eSIMを使用する最大の理由になっています。しかし、旅行がeSIMの重要なユースケースであるにも関らず、eSIMを知っていると答えた人のわずか24%しか、旅行用のeSIMを実際には使っていません。また、eSIMを日々使っている人のほうが、旅行でもeSIMを使う傾向にあり、普段eSIMを使う人の61%が旅行でも使うと回答しています。
出典:eSIM Consumer Awareness Survey: eSIM in Travel
カウンターポイントのリサーチディレクターMohit Agrawal氏は次のように述べています。
「旅行用eSIMを使ったことのある消費者は、eSIMが世界のどこにいても手軽にインターネットにつなげられるということを理解し、今後も使う可能性が高い。しかし、潜在的ユーザーの大部分は旅行用eSIMという選択肢そのものを知らない。つまり、キャリアにとっても旅行用eSIMのプロバイダーにとっても、この認知度の差を埋めることで、旅行向け通信の市場をさらにデジタル化する機会がある。」
今回の調査では、地域によって旅行用eSIMの普及に差があることもわかりました。いろいろな用途を含むeSIM全体の普及では米国が勝りますが、ドイツ、フランス、ポーランドなどの欧州の国々は旅行用eSIMにおいては普及率で勝っています。
旅行用eSIMの普及に向けた障壁も、今回の調査で明らかになりました。eSIMを使う回答者のほぼ39%が、まだ旅行用eSIMを試していないとしています。その理由として多くの回答者が挙げているのが、存在を知らなかったこと、価格への懸念、そしてセットアップが複雑そうだ、という点です。また、eSIMは若い消費者で使われている一方、年配の旅行者は従来のローミングを使い続ける傾向にあり、ターゲットを絞ったマーケティングによって普及を促せる可能性があります。
カウンターポイントのリサーチアナリストSiddhant Cally氏は次のように述べています。
「旅行用eSIMが伸びているのは良いことだが、一般大衆に普及を広げるにはもっと工夫が必要だ。大きな障壁は消費者が旅行用eSIMを知らないことにある。わかりやすく透明性の高い料金プランと、適切な情報の提供とで、キャリアやサードパーティのeSIMプロバイダーは旅行用eSIMへの認知度を高め、利用を促すことができる。そうなれば、ますますモバイル化していく世界の中で、旅行用eSIMが第一の選択肢になるだろう。」
eSIMのエコシステムが成熟し、eSIMを使える端末も増えていきます。カウンターポイントでは普及は各世代、各地域で着実に進むとみています。認知度を高め、使い方を簡単にすることで、旅行用eSIMの利用への障壁が大きく下がり、業界にとって新しい機会となるでしょう。
【カウンターポイント社概要】
カウンターポイント社(英文名Counterpoint Research HK)はTMT(テクノロジー・メディア・通信)業界に特化した国際的な調査会社である。主要なテクノロジー企業や金融系の会社に、月報、個別プロジェクト、およびモバイルとハイテク市場についての詳細な分析を提供している。主なアナリスト陣はハイテク業界で長年の経験を積んだエキスパートである。
公式ウェブサイト: https://www.counterpointresearch.com/