カウンターポイント・リサーチ・エイチ・ケー(英文名:Counterpoint Research HK、以下カウンターポイント社)は、世界のスマートフォン市場が2024年第1四半期に出荷ベースで前年同期比6%成長したという調査結果を含む、Market Monitor Serviceを発表いたしました。この成長は、おもに欧州、中東・アフリカ(MEA)、カリブ・中南米(CALA)における業績好調によるものです。
市場全体の動きについて、シニアアナリストのPrachir Singh氏は次のように述べています。
「第1四半期のスマートフォンの出荷が伸びたのは、新興国市場の勢いが続いていることに加え、2023年第1四半期が特に厳しい状況だった中欧・東欧が前年比でどこよりも伸びたことが理由だ。これらの地域では、消費者の需要が次第に高まっており、在庫レベルも改善してきている。MEAは、TECNO、Xiaomi、HONORの出荷が好調で、最も急成長している。中国も、旧正月のセールスが好調だったことと、Huaweiの復活とをうけて、前年比増になった。インドも、適正な在庫レベルで2023年を終えられたおかげで伸びている。成熟市場である北米や日本は2023年の同時期と比べて減少となった。」
出処: Market Monitor – OEM Shipment by Region and Countries, Q1 2024
世界のスマートフォン売上額も、2024年第1四半期は前年同期比7%の成長をとげ、第1四半期としては過去最高の金額になりました。800米ドル(約12.5万円)を超えるセグメントが最も急速に伸びており、二桁成長の結果、2024年第1四半期のスマートフォン出荷全体の18%を占めるに至りました。2023年第1四半期から2ポイントの増加です。Appleはスマートフォン市場で売上額ベースの第1位で、売上額は前年より11%下がったものの、なお43%の売上シェアを占めました。Samsungの売上は前年同期比2%成長し、これは出荷数量が横ばいであったもののASP(平均売価)が上昇した結果です。トップ5社の中では、Xiaomiの売上の伸びが最大でした。同社にとっての主要市場で業績好調だったことが効きました。トップ5社以外の売上も急成長しています。Huawei、HONOR、Transsionがそれぞれ売上を伸ばしたからです。
出処: Market Monitor – OEM Shipment by Region and Countries, Q1 2024
Appleの業績について、リサーチディレクターのJeff Fieldhack氏は、次のようにコメントしています。
「中国での競争が激化し、米国での買い替えが過去最低水準になり、加えて、一昨年から昨年初頭にかけてiPhone 14 Proの供給問題が発生し供給が2023年第1四半期にずれ込んだのと同様な問題も起きている。これらが全部まとめてiPhoneの業績に影響している。しかし、悪い話ばかりではない。iPhone 15 Proシリーズのラインナップは前のモデルより好評なうえに、新興国市場にも普及が拡大している。これで、業績の悪化はある程度食い止められている。特に、新興国市場は長期的な成長機会だ。今年後半にGenAI(生成AI)搭載モデルが登場すれば、買い替えにつながるだろう。」
Samsungはこの四半期、世界のスマートフォン出荷ベースでの第1位を奪還しました。Galaxy-Aシリーズを早めにモデルチェンジしたことと、Galaxy S24シリーズが好調なこととが、要因です。また、Samsung製品のASPは、この四半期に過去最高に達しました。中国の主要スマートフォンメーカーのなかでは、Xiaomiとvivoが業績を伸ばしました。Xiaomiは同社にとっての主要市場のほとんどで成長しました。またvivoはインドなどアジア太平洋地域(APAC)の新興国市場で好業績となりました。Huawei、HONOR、Transsionグループもこの四半期に業績を伸ばしています。Huawaiは中国で著しい伸びをみせ、他の主要ブランドからシェアを奪いました。HONORは、中国国内での強固な基盤に加えて、CALAやMEAでも成長しました。TranssionグループのTECNO、itel、InfinixはAPAC、東欧、インド、MEAで業績好調でした。一方でOPPO*は中国など主要市場での厳しい競争によって出荷を減らしました。同社は出荷台数より価格を優先する戦略にシフトしており、新興国市場でもASPの高い機種を積極的に販売しています。
短期的な市場の見通しについて、リサーチディレクターのTarun Pathak氏は次のように述べています。
「ここしばらくは、ゆっくりではあるが成長は着実に進むだろう。だが、売上額はそれより速く成長しそうだ。折り畳み型やGenAI機能に見られるように、新しい形状や機能の登場で、ここしばらくは高級機指向のトレンドが続くと見られるからだ。すでに10社を超えるメーカーが、合わせて30を超えるGenAI搭載スマートフォンを発売している。GenAI搭載スマートフォンのシェアは2024年中に11%に達すると見ている。」
*OPPOの数字には2021年第3四半期以降OnePlusの数字を含んでいます。
注:価格の分析は工場卸値に基づいています。
最新調査や分析に関するお問い合わせはお気軽にpress@counterpointresearch.comまでお寄せください。
【カウンターポイント社概要】
カウンターポイント社(英文名Counterpoint Research HK)はTMT(テクノロジー・メディア・通信)業界に特化した国際的な調査会社である。主要なテクノロジー企業や金融系の会社に、月報、個別プロジェクト、およびモバイルとハイテク市場についての詳細な分析を提供している。主なアナリストは業界のエキスパートで、平均13年以上の経験をハイテク業界で積んでいる。公式ウェブサイト: https://www.counterpointresearch.com/