- 東南アジアは、第2四半期にEV市場として世界で最も熱い市場となった。インドネシア主要国が牽引し、前年同期比ほぼ10倍の伸びをみせた。
- BYDは車両台数ベースシェアでトップとなり、地場市場で人気が高いVingroupが僅差でこれを追う。
- 中国メーカーの伸びがもっとも大きく、低価格セグメントへの需要が強いことを、改めて示唆した。
Counterpoint Researchが提供する最新のSE Asia Passenger Electric Vehicle Tracker, Q2 2023によれば、バッテリー駆動電気自動車(BEV)のこの地域での販売台数は894%伸びた。タイ、ベトナム、インドネシア、マレイシアでの強い需要がこの結果につながった。
市場がまだ黎明期で変動が大きいのは確かだが、乗用車全体の販売に対してEVのシェアがはっきり伸びているのは間違いなく、この四半期には6%を超えた。この強力な初期需要をアジアの主要メーカーは収益につなげた。
出典:Counterpoint Research SE Asia Passenger EV Tracker
「我々が眼にしているのは、東南アジアで最大の市場がまさに育ち始めたところだ。電動化を推進する政府の努力と、多くの車が市場に出回ったこととが相まって、市場を盛り上げた。こうした車は万人に手が届くのもではなかったかもしれないが、それでもこの地域の人々にとって、これまでよりもはるかに近い存在になった」
自動車担当のシニアアナリストSoumen Mandal氏はこう解説する。「ベトナムとタイが好例だ。自動車メーカーは最大の消費者層を狙って、より低価格の車種を投入している。」
さらに氏は以下のように語った。
「結果として昨年より価格は大幅に下がった。VinfastやBYDなどの車メーカーは、アピールする値札のついた車を発売した。ベストセラー車種トップ5で前年同期と比べれば、価格は20%以上下がっている。」
短期的には、東南アジアのEVブームで一番儲かるのは中国メーカーである。特にタイはいわば台風の目になりそうだ。地域の自動車産業のハブであるこの王国に、車業界では新参者の中国メーカーは店舗を構え、Toyotaなど従来の車メーカーはEVシフトがさほど進まず、道を譲る形になっている。
「BYDのようなメーカーにとって、大きなチャンスが存在する。BYDは自国の巨大市場で幸先の良いスタートを切った。」製造担当シニアアナリストのIvan Lam氏は語る。「同社の規模と、一気通貫の垂直統合製造能力(訳注:BYDはリチウムイオン電池の大手でもあり、車載用バッテリーでは2位)は、値ごろな車、安定供給のサプライ、頻繁な新車の投につながる。これには、ほとんどの競合がかなわない。内燃機関エンジンの車では別に当たり前なシナリオだが、EVにとっては、これは革命的である。」
【カウンターポイント社概要】
カウンターポイント社(英文名Counterpoint Research HK)はTMT(テクノロジー・メディア・通信)業界に特化した国際的な調査会社である。主要なテクノロジー企業や金融系の会社に、月報、個別プロジェクト、およびモバイルとハイテク市場についての詳細な分析を提供している。主なアナリストは業界のエキスパートで、平均13年以上の経験をハイテク業界で積んでいる。
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