• 世界のスマートウォッチ市場は、前四半期からの上昇トレンドを維持し、2023年第3四半期は出荷ベースで前年同期比9%増とリバウンドした。
  • 成長の原動力は、ひとつはインド市場の好調で、特にFire-Bolttの業績が絶好調である。もうひとつはHuaweiの中国における急拡大である。
  • インドの外の国々では、AppleHuaweiSamsungの新機種が売れた結果、高スペックなHLOSを搭載したスマートウォッチが伸びており、市場の主役となっている。

 

Counterpoint Researchが提供する最新のGlobal Smartwatch Model Trackerによれば、世界のスマートウォッチの出荷は2023年第3四半期に前年同期比9%増加した。今年初めにスローダウンしたものの、スマートウォッチ市場は2023年第2四半期に勢いを取り戻し、第3四半期に入っても成長トレンドが続いている。この成長の主な原動力は、ひとつが、インド市場が好調を持続していることで、特にFire-Bolttが市場を牽引している。もうひとつが、Huaweiが中国市場で著しいリバウンドをみせていることである。

 

リサーチアナリストのWoojin Sonは以下のように語った。

2023年第3四半期の世界のスマートウォッチ市場の成長の原動力について調べることには大きな意味がある。経済が世界的に減速し、スマホなどほとんどの消費者向け機器の市場で昨年からの停滞が続いている。そんな中で、スマートウォッチ市場は、高級機も値ごろな普及機も、2四半期連続して前年同期比の伸びをみせた。特に高機能OS(HLOS)を搭載した高機能かつ高価格なスマートウォッチの成長は、Huaweiが2023年第3四半期に四半期として過去最高の業績をあげたが大きく効いている。同社の急拡大はほぼ中国市場での実績で、Huaweiの新しい5Gスマホの発売とあいまって、ウォッチが売れた。」

 

高機能OS (HLOS)搭載のスマートウォッチのシェア  2022年第3四半期と2023年第3四半期の比較

出典: Counterpoint Global Smartwatch Model Shipment and Revenue Tracker, 2023年第3四半期

 

Sonはさらに以下のように続けた。

「また、ベーシックなスマートウォッチで力強く伸びてきたインド市場は、この四半期も堅実な成長をみせた。インドは世界の出荷全体の35%を占めており、3四半期連続で世界市場連続で首位であった。」

 

市場のサマリー

 

  • Appleは、第3四半期として過去最高の業績で、出荷は前年同期比7%伸びた。この結果は注目に値する。なぜなら、主力機種である最新のApple Watchの発売は昨年よりやや遅れたからである。第2世代のSEモデルが、業界のリーダーである同社の成長に大きく貢献した。
  • Huaweiは、この四半期に、出荷全体で前年同期比56%増の目覚ましい成長をみせた。特にHLOSスマートウォッチは122%成長と突出している。2023年第2四半期に発売されたWatch 4と4 Proシリーズ、それに2023年第3四半期に発売されたWatch GT 4が人気を集めた。Huaweiの出荷増は、同社のスマホが復活し、それとバンドルする販売方法がいろいろな販売チャネルで行われたことによる。
  • Samsungは、出荷ベースでは前年同期比19%の減少となった。しかし、8月に発売した新機種は、他の従来機種とは異なり、3%しか減少していない。つまり、この四半期におけるSamsungのスマートウォッチの出荷減は、古い機種の出荷急減によるものである。また、Galaxy Watch 6 Classicの割合は、前身機の5 Proよりもかなり増加し、同社のASP(平均売価)上昇に貢献している。
  • Fire-Bolttは、四半期として過去最高の出荷を記録し、インドにおけるリーダーに返り咲いた。インドにおける主要3社であるFire-Boltt、Noise、boAtは、いずれも以前より成長のペースが落ちている。しかし、これは市場の変調の兆しというよりも、インド市場が安定期に移行したと捉えるべきであろう。

 

*スマートウォッチの種類

 

  • HLOSスマートウォッチ:高機能なOS、例えばWatch OS (Apple)、Wear OS (Samsung)、などを搭載し、サードパーティ製のアプリをインストールできるタイプ。
  • ベーシックスマートウォッチ:軽量なOSを搭載したバージョンで、サードパーティ製のアプリはインストールできない。

 

Team Counterpoint

 

Counterpoint Researchは若く急成長中の調査会社で、ハイテク業界の分析を得意としている。カバーする領域は、コネクテッド機器、消費者向けデジタル製品、ソフトウェアとアプリケーション、および関連分野のトピックスである。当社の調査チームがまとめて発行するレポートに加え、要望に合わせてカスタマイズしたレポートも提供している。また、セミナーやワークショップを企業向けに開催して好評を得ており、依頼があれば実施している。特に高精度の調査を必要とするプロジェクト向けには、コンサルティングやカスタマイズした調査活動も実施する。