高級スマートフォン(メーカー卸値で平均600米ドル、約9.1万円以上)が世界のスマートフォン全体に占めるシェアは、2024年に25%と、2020年の15%から大きく伸びました。この調査結果を含むGlobal Handset Model Sales Trackerをカウンターポイント・リサーチ・エイチ・ケー(英文名:Counterpoint Research HK、以下カウンターポイント社)が発表しました。高級機指向のトレンドが依然として強く、新たに高級機を求める消費者が続々と現れることで、この結果となりました。高級機の価格帯は2024年に前年同期比8%伸びており、スマートフォン市場全体の伸びの5%を上回っています。Appleは67%のシェアをもって2024年の高級機セグメントのトップですが、昨年の72%からはシェアが下がっています。Samsung、Huawei、Xiaomiにシェアを奪われたためです。高級機セグメントの中では、超高級スマートフォン(メーカー卸値で平均1,000米ドル、約15万円以上)の割合が初めて40%を超えました。消費者の、買うなら最高級バージョンを、という流れを反映しています。
高級スマートフォンセグメント(600米ドル以上)の販売シェア 2020年と2024年の比較
出典: Global Handset Model Sales Tracker
高級機セグメントの成長に関して、シニアリサーチアナリストのKarn Chauhan氏は、次のようにコメントしています。
「消費者は、より良い使い勝手を求める。そのために、より高性能なプロセッサ・カメラ・ディスプレイ、それにGenAI(生成AI)機能を求める。だから高級機セグメントの伸びは続く。加えて、ソフトのサポート期間が長く、将来にも耐えられるハードウェアであれば、そのスマホを長く使うことができる。それなら高くても良い、という論理が働く。すでに高級スマホを使っている人はこの価格帯のスマホを使い続ける可能性が高く、そこに新しいユーザーが加わるから、このセグメントの成長は底堅い。」
スマートフォン主要メーカーの高級機(600米ドル以上)市場におけるシェア 2020年と2024年の比較
地域別の状況について、リサーチアナリストのHarshit Rastogi氏は、次のようにコメントしています。「米国はいまも世界の高級スマホ最大の市場で、2024年のシェアは25%だった。牽引しているのは、AppleのiPhoneと、SamsungのGalaxy S、Galaxy Zシリーズだ。一方で、中国市場も急伸しており、世界シェアは24%に達している。中国国内メーカーが高級機セグメントで成果を出し始めたからだ。Huawei、Xiaomi、vivo、HONORはいずれもこのセグメントで年率二桁パーセントの伸びをみせている。」
2020年以降、インドと中東では高級機セグメントはそれぞれ5倍と2.5倍成長しています。消費者がトップメーカーの製品を好むようになったからです。それに加えて、支払いプランが充実したことや下取りも、高級機への流れを加速しました。ブランドとしては、高級機を買うならAppleかSamsungというのが消費者の意識なので、高級機指向の恩恵を受けているのはこの両社です。
メーカー各社は、販売台数よりも売上高を重視しており、それに向けて製品ポートフォリオを整備しています。この結果、販売されている高級機セグメントの機種数は増加してきており、2024年にはほぼ300機種に達しています。スマートフォン全体の機種数が減少しているのとは対照的です。新興国において購入する価格帯が上昇する流れが続くので、高級機指向のトレンドは続きますが、そのペースは落ち着いてきそうです。また、補助金施策がある中国でも、高級機セグメントはさらに伸びそうです。
【カウンターポイントリサーチ社概要】
カウンターポイントリサーチ社(英文名Counterpoint Research HK)はTNT(テクノロジー・メディア・通信)業界に特化したグローバルな調査会社です。主要なテクノロジー企業や金融系企業に、モバイル、車載、AIなどハイテク市場についての週次・月次・四半期毎に、市場データ、個別プロジェクト、詳細な分析レポートを提供しています。また、ハイテク業界で経験を積んだエキスパートが当社のアナリスト陣を構成しています。
公式ウェブサイト: https://www.counterpointresearch.com/