2025.04.15| PR|

中国における高級スマートフォン(600米ドル、約8.6万円以上)セグメントのシェアは、2024年に全体の28%と、2018年の11%から大きく上昇しました。この調査結果を含む最新のSmartphone Model Sales Trackerを、カウンターポイント・リサーチ・エイチ・ケー(英文名:Counterpoint Research HK、以下カウンターポイント社)が発表しました。中国のスマートフォン市場では、2017年以降高級機へのシフトが顕著になっており、さらに米国によるHuaweiへの貿易制裁以降、動きに拍車がかかっています。

出典:Global Handset Model Sales Tracker

AppleとHuaweiは中国の高級スマートフォン市場を長く寡占してきました。2024年には、両巨人あわせて、このセグメントの83%を占めました。Huaweiは5G対応のKirinチップセットを開発し、2023年以降復活を果たしています。一方でAppleのシェアは2024年に54%まで低下しました。

Huaweiの復活は、中国のサプライチェインのエコシステムにおけるブレークスルーと言えるでしょう。これによって同社は競争力を取り戻しました。Huaweiの高級機セグメントにおけるシェアは、2024年には29%と、2023年の20%から大きく上昇しています。これは中国メーカーのなかで最大の伸びです。Huaweiが5G KirinチップセットをPuraシリーズやNova 13シリーズなどの新機種に次々に搭載したことで、この伸びになりました。販売数量でみても、Huaweiは2024年に前年比37%の成長を記録し、なかでも高級機セグメントは前年比52%の大きな成長となっています。

他の中国メーカーも高級機市場でのシェアを伸ばそうと、さらに力を入れています。特に、米国による貿易禁止は中国メーカーにとって新たな機会となっています。各社合わせたシェアは2020年の5%から、2024年は15%へと伸びました。特に、Xiaomiやvivoは高級機セグメントで前年比約50%の伸びをみせています。それでも各社の販売数量はAppleやHuaweiと比べて少なく、高級機市場で確固たる足場を得るにはまだ長い時間と挑戦とを要します。各社は、厳しさを増す競争の中で、イノベーションを継続し、一貫した戦略をもって戦う必要があります。

中国メーカーはまた400~600米ドル(約5.8~8.6万円)価格帯も支配しています。この価格帯は、将来、高級機に買い替える予備軍として極めて重要です。中国メーカー全体で、この価格帯でのシェアは2023年の89%から2024年は91%へと増加しています。中国メーカーのスマートフォンがただ安いだけではなく、性能も申し分ないことから、消費者が自国製品を選んでいる、という傾向がはっきり示されています。

今後も高級機指向は中国のスマートフォン市場において継続するでしょう。競争も激化していきます。各社にとって、イノベーション、中国に合わせた作りこみ、ブランドとしての差別化に集中することが、この動きの速い市場で成功するための条件といえます。

 

【カウンターポイントリサーチ社概要】
カウンターポイントリサーチ社(英文名Counterpoint Research HK)はTNT(テクノロジー・メディア・通信)業界に特化したグ
ローバルな調査会社です。主要なテクノロジー企業や金融系企業に、モバイル、車載、AIなどハイテク市場についての週次・月次・四半期毎に、市場データ、個別プロジェクト、詳細な分析レポートを提供しています。また、ハイテク業界で経験を積んだエキスパートが当社のアナリスト陣を構成しています。
公式ウェブサイト: https://www.counterpointresearch.com/