カウンターポイント・リサーチ・エイチ・ケー(英文名:Counterpoint Research HK、以下カウンターポイント社)は、欧州のスマートフォン出荷が2024年第1四半期についに成長に転じ、前年同期比10%伸びたとする調査結果を含む、Market Monitor Serviceを発表いたしました。これは、2021年第3四半期以来、この地域では初めての前年同期比での成長になり、最悪の状況は脱したことがうかがえます。とはいえ、出荷はコロナ禍以前の水準より未だにだいぶ低く、2023年第1四半期は欧州での出荷が過去10年で最低であったことを考えれば、この成長の今後は注意深く見守る必要があります。

 

市場動向について、アソシエイトディレクターのJan Stryjak氏は、次のように述べています。

「欧州市場がついに成長軌道に戻ったのは良い知らせだが、2023年がどれだけひどかったかを考えると、手放しで喜ぶわけにはいかな。それでも、この地域のマクロ経済は改善しているし、Samsung、Xiaomi、HONORなどが強力な新機種を投入したことで、市場に楽観ムードが広がった。特にSamsungは、人気機種のGalaxy S24シリーズが貢献して、2021年第4四半期以降初めての前年同期比成長を、2024年第1四半期に達成した。HONORは各地で攻勢を続けてOPPOのシェアを奪い、初めて第5位を獲得した。また、TranssionグループのサブブランドであるTECNOは東欧で急成長をとげた。」

 

また、今後の見通しについて、Stryjak氏は、次のようにコメントしました。

「欧州市場は復活の兆しをみせ、消費者心理も改善している。これには、端末へのAI搭載に関連するイノベーションが一役買っている。でも、まだ闇から完全に脱したわけではない。2024年は一桁台の小さな値の成長になるとみられるが、これはあくまで悲惨な2023年の業績と比べてのことであって、コロナ禍以前のレベルにはすぐには戻りそうにない。」

 

 

市場のサマリー:

  • Samsungは2024年第1四半期に前年同期比7%伸び、2021年第4四半期以来続いていた落ち込みに終止符を打ちました。AIを搭載したSamsungのS24シリーズの大好評なうえに、新機種のA35とA55が四半期末に発売されたことで、第2四半期も同社の勢いが続く見込みです。
  • Appleの出荷は、iPhone 15の販売が季節要因で下がったため、前年同期比1%減少しました。2024年にはiPhone SEが期待できないため、今年後半にiPhone 16が発売されるまでの間、出荷はこれからも下がり続けるとみられます。
  • Xiaomiの出荷は前年同期比11%伸びました。同社は、ここ数年厳しい状況が続きましたが、そこからの回復基調が続いています。Xiaomiは特に西欧で業績が良く、なかでもスペインとイタリアで好調です。主に新機種のRedmi Note 13シリーズが貢献しました。
  • realmeの出荷は前年同期比59%伸びました。西欧で業績が伸び、なかでも同社の主要市場であるイタリアとスペインなどでV字回復を果たしました。realmeは中欧や東欧でも業績を伸ばしており、特にトルコ、ウクライナ、ハンガリーで大きく成長しました。同社が新たに投入したrealme 12に多少影響を受けたものの、Cシリーズスマートフォンは引き続き同社にとってベストセラー機種です。
  • HONORは前年同期比67%伸び、OPPOに代わって欧州の第5位を初めて獲得しました。成長の原動力となった西欧では、Magic V2、Magic 6、HONOR 90を含む一連の新鋭機種の好調をうけて出荷は倍以上に延びました。

 

 

【カウンターポイント社概要】

カウンターポイント社(英文名Counterpoint Research HK)はTMT(テクノロジー・メディア・通信)業界に特化した国際的な調査会社である。主要なテクノロジー企業や金融系の会社に、月報、個別プロジェクト、およびモバイルとハイテク市場についての詳細な分析を提供している。主なアナリストは業界のエキスパートで、平均13年以上の経験をハイテク業界で積んでいる。

公式ウェブサイト: https://www.counterpointresearch.com/