• Appleの出荷シェアが増え、2023年第4四半期は64%に達した。
  • Androidの出荷が第4四半期に減少した。低価格帯スマホを売るメーカーが需要の弱さに苦しんだためである。
  • AT&TT-MobileVerizonはいずれも、機種買い換え率と販売とが、ともに低調であったとしている。

2024年の米国のスマホ市場は、経済の回復をうけて成長するものの、一桁台の低い数値となりそうである。

 

Counterpoint Researchが提供するMarket Monitorのデータによれば、米国のスマホ出荷は2023年第4四半期に前年同期比8%成長した。主要因はAppleの出荷が大きく回復したことである。昨年の同社は、COVID-19による工場の操業停止で生産ラインが寸断されていた。また、Androidの出荷はこの四半期に前年同期比で減少した。300米ドル(約4.5万円)未満の価格セグメントで需要が弱いためである。

 

「ホリデーシーズンのiPhone需要が強いから、いつも第4四半期のAppleは盤石だ。」と、Counterpointの北米担当リサーチディレクターJeff Fieldhackは語る。「2023年を通じて、Appleは旧型機種をプリペイド向けに提供した。つまり、iPhone 12やiPhone 11を大幅値引きして販売したのである。このこともシェアを高める結果につながった。」

出典:Counterpoint Market Monitor

注:丸め誤差のため数字の総和は100%にならないことがある

 

アンドロイド端末の出荷について、シニアアナリストのMaurice Klaehneは以下のように述べた。

「第4四半期は、高級機セグメントの販売が減速したが、最も大きな下げ幅となったのは300米ドル(約4.5万円)未満のセグメントである。プリペイドからポストペイド(訳注:日本の一般の契約のように、使ったあとで通話料が請求される)への移行は確実に進行しており、ComcastのXifinity MobileやCharter CommunicationのSpectrum Mobileのようなケーブル系各社は業績が極めて良い。プリペイドからのアップグレード猶予期間は90日から365日にまで延長された。こうしたことが低価格なプリペイドスマホの需要を下げる要因となった。」

 

キャリア各社の業績と見通しについて、アソシエイトディレクターのHanish Bhatiaは以下のように述べた。

「キャリア各社は、相変わらず、手持ちの機種を使い続ける期間が延びて機種の買い替え率が低い、と言っている。しかし、トップ3社のポストペイド型の契約数は前年比5%増えており、その一部は高級機の販売にもつながっている。キャリアの売上はかなりの部分がサービスの売上で成り立っており、そのサービス売上の増加は、ユーザーがより上位ランクの料金プランにアップグレードしたり、従来プランを値上げしたりしたことによるものである。また、最近は製品とサービスを組み合わせたバンドル商品がトレンドになっており、このことも売り上げ増につながっている。この動きは2024年にさらに増えるだろう。」

 

Bhatia氏はさらに以下のように続けた。

「2024年の見通しは、米国経済の先行きに大きく左右される。2024年は選挙の年で、通常は各種の経済指標が改善する年である。従って、どの価格帯においても需要が回復することが期待され、年間を通じて緩やか成長になりそうである。MVNO(訳注:Mobile Virtual Network Operatorインフラを持っているキャリアから回線を借りてビジネスを行う。日本では多くの格安スマホがこの形態。)のGoogle Fiなどは、国内の小売チャンネルで存在感を増しており、対プリペイドの競争が続く。Affordable Connectivity Program (訳注:略称ACP。低所得者層が高速インターネットに低価格でアクセスできるようにするバイデン政権の施策)が近い将来、打ち切られるか補助金が減額されるかの見通しで、このことも低価格帯の市場に影響がある。一方、高級スマホでは、生成AIが成長のドライバーとなりそうだ。例えば、Samsung Galaxy S24は、ほぼリアルタイムの翻訳や生成AIを使った写真編集を搭載している。」

 

 

Team Counterpoint

Counterpoint Researchは若く急成長中の調査会社で、ハイテク業界の分析を得意としている。カバーする領域は、コネクテッド機器、消費者向けデジタル製品、ソフトウェアとアプリケーション、および関連分野のトピックスである。当社の調査チームがまとめて発行するレポートに加え、要望に合わせてカスタマイズしたレポートも提供している。また、セミナーやワークショップを企業向けに開催して好評を得ており、依頼があれば実施している。特に高精度の調査を必要とするプロジェクト向けには、コンサルティングやカスタマイズした調査活動も実施する。