- 中国におけるスマホ高級機種ユーザーのうち64%が、次機種は折り畳み型にしたいと回答した。
- ボディ形状の目新しさ(23%)と、大きな画面になること(21%)が折り畳み型を好む最大の理由である。
- 折り畳み型を検討中の人々の89%がブックタイプを求めている。理由は、画面の幅が広く大面積であることと、マルチタスク機能である。
- メーカーを選ぶ際の主要ポイントは、メーカーの評判と、技術の先進性である。
- 一方、最大の懸念は折り畳み型の耐久性である。
Counterpoint Researchが最近実施した消費者調査によって、中国の消費者が折り畳み型スマホに強い関心を寄せていることが明らかになった。400米ドル(約5.9万円)以上の価格帯のスマホを所持している中国のユーザーのうち、64%もの人々が次のスマホとして折り畳み型を考慮していると回答した。そのうち20%は買うつもりと答え、残りの44%は選択肢として検討すると答えた。
アンドロイド端末のユーザーで折り畳み型に興味を持っている人は71%と高く、iOSユーザーでは58%である。現在折り畳み型を使っているユーザーは特に折り畳み型指向が強く、この新技術によってもたらされる体験をぜひ今後も続けたいと考えている。
折り畳み型の大画面はスマホユーザーにとって魅力的ではあるが、その一方で、耐久性、画面のしわ、畳んだ時のかさばる形状といった点が懸念となって熱狂的な支持にはなっていない。これが広く普及する上での障害である。
シニアアナリストのArushi Chawla氏は以下のように語った。
「スマホ市場は成熟し、ソフトウェアでの差別化が難しくなっている。だから目ぼしい新機能として、各社は折り畳みカテゴリーに期待をよせている。複数社が折り畳み型の次世代機を投入していることで、消費者のこのジャンルに対する信頼感も増している。結果として、回答者のかなりの割合が、近い将来折り畳み型を購入したいと答えた。その一方で、ますますスマホに依存している消費者たちの、スマホに関する知識も増えており、それゆえ折り畳み型に関する懸念を持っていることも事実である。」
耐久性は、回答者が最も強く(23%)求める改良点である。中国のソーシャルメディアでは、折り畳み型の修理代が高いことや、商品の頑丈さが足りないことへの失望の書き込みが目立つ。従って、品質に関する評判と、アフターセールスのサービスの良さとが、メーカーを選ぶ際の最大のポイントになっている。
また、リサーチアナリストのArchie Zhang氏は以下のように語った。
「中国メーカーは折り畳み型のイノベーションをリードしている。スリムな形状にし、軽量化することで、従来の高級機種に慣れた消費者にアピールしようとしている。この進化は、研究開発への莫大な投資のもとで進められている。研究開発の焦点は折り畳みヒンジの機構と材料であり、いずれもボディサイズを小さくし、軽量化し、耐久性を上げるために必須である。」
この調査では、ブック型の折り畳みスマホに対する消費者の期待値も調べた。約70%の回答者が、折り畳み型の重さは、今使っているスマホと同じか軽くあってほしい、と答えた。厚さについては、畳んだ時のブック型の厚さは、10mm~12mmを超えないでほしい、という回答であった。また、ほとんどのユーザーがブック型の機種には7,000~8,000人民元(約14.6~16.7万円)を払ってもよいと答えた。
中国の折り畳み型スマホ市場は、今年に入って指数関数的に成長しており、第3四半期には前年同期比106%の伸びをみせた。HONORのMagic V2はこの四半期のベストセラーである。第1四半期から第3四半期にかけて、このセグメントは90%成長し、Huaweiが最大の販売シェアを持っている。
HONORも他の中国メーカーも折り畳み型の出荷を一段と増やす一方、世界の高級機種セグメントでの成長を加速しようとしている。このため、世界の折り畳み型市場の競争は激しくなるだろう。
シニアリサーチアナリストのMengmeng Zhang氏は以下のように語った。
「中国の折り畳み型スマホ市場は、2023年のスマホ全体が前年同期比5%減と予想される中、二桁の高成長をみせている。各社が折り畳み型の耐久性、デザイン、価格を改善していけば、今後さらに広い消費者層に受け入れられるだろう。加えて、折り畳みならではの新機能、たとえばマルチタスクの進化系や、内・外スクリーンを統合した一体型表示などが加わると、折り畳み型スマホの消費者へのアピールがさらに高まるだろう。」
(このCounterpoint Researchの調査は、HONORがスポンサーとなり、中国において400米ドル以上のスマホのユーザーを対象に、折り畳み型に関する好みを調べたものである。調査のサンプル数は1,000名超で、英語と標準中国語を使用してオンラインで実施された。調査の統計学的な精度は±4%と推定される。)
補足:
Counterpoint Technology Market Researchはグローバルな調査会社で、TMT(テクノロジー・メディア・通信)業界のハイテク商品の分析を得意としている。世界の主要なハイテクや金融の企業に、月次レポート・カスタム調査プロジェクト・モバイルとハイテク市場の詳細分析を提供している。主なアナリストはハイテク業界で豊富な経験を積んできたエキスパートである。