• 18%のシェアをもって、Samsung2023年の首位を獲得した。2017年以来初めてのことである。
  • vivoは、2023年の第2位で17%のシェアを得た。高級機の中でも値ごろな価格帯(30,00045,000インドルピー、約48.1万円)に関しては33%のシェアである。
  • Xiaomi2023年の第3位に後退したが、2023年第4四半期に限れば3%のシェアでトップだった。
  • Appleの出荷は1,000万台を超え、売上ベースでは、暦年での通年で、初めて首位を獲得した。
  • 5Gスマホの出荷シェアは2023年に52%を超え、前年比では66%伸びた。

 

Counterpointが提供するMonthly India Smartphone Trackerによれば、インドにおける2023年のスマホ出荷は横ばいの1.52億台であった。上半期はマクロ経済の変調をうけて需要が落ち込んだため在庫が積みあがる結果となり、厳しいものであった。しかし、下半期には、5Gへの買い替え需要や、年末の祝祭シーズンのビジネスが期待以上だったことで、市場は回復基調である。

 

市場動向について、シニアリサーチアナリストのShilpi Jainは以下のようにコメントした。

「高級機セグメントの成長と5Gへの買い替え需要が市場を牽引し、2023年第4四半期は前年同期比で25%の成長となった。まる1年にわたった市場の縮小を乗り越えてのことである。細く長く続いたかたちの祝祭シーズン商戦が、成長をさらに助けた。思い切った値引き、楽な支払いプラン、ふんだんに資金を投じたプロモーションが需要を掘り起こした。多くのスマホメーカーにとって、この1年の主眼は、消費者の変化に合わせて5G製品を低価格セグメントに投入することであった。この結果、5Gスマホの出荷シェアは2023年に52%を超え、前年比では66%の伸びとなった。最後の四半期(10月~12月)には在庫レベルが正常化し、翌年の成長に向けて調子が整ってきている。高級機指向と5Gの低価格帯への浸透、それにマクロ経済の回復によって、2024年の市場成長は前年比5%になると、我々は予測している。」

 

出典:Counterpoint Research Monthly India Smartphone Tracker

 

競合状況と各社の詳細について、リサーチアナリストのShubham Singhは以下のようにコメントした。

Samsungは2023年の市場リードし、シェアは18%だった。Aシリーズが好調だったこと、オフライン(路面店)での積極的な販促、そして高級機セグメントでの的を絞った事業展開が、要因である。vivoは第2位でシェアは17%だった。2023年の同社は高級機の中でも値ごろな価格帯では首位で、オフラインではCMF(colour, material, finishの略で、色・材質・仕上げの質感のこと)にこだわったV29シリーズが、またオンライン(ネット通販)ではTシリーズが、それぞれ好調だった。Xiaomiは2023年の通年では第3位に後退したが、2023年第4四半期に限ってみれば首位を獲得した。これは、値ごろな5G製品を投入したこと、オフラインの販売網を拡充したこと、そしてポートフォリオを整理したことの結果である。

 

高級機セグメント(30,000インドルピー、約5.4万円超)は、2023年に前年比64%の伸びをみせた。使い勝手のよい楽な支払いプランが提供され、消費者がより高価なスマホに手を出したからである。2023年に購入されたスマホの3台に1台はこうした支払いプランを利用したものである。Appleのインド重視戦略も高級機指向のトレンドを後押ししている。iPhoneの最新機種も既存機種もともに根強い需要に支えられた同社は、出荷が1,000万台を超え、通年の売上で初めてトップに立った。自前の店舗を開店し、定期的なプロモーションでLFR(Large Format Retail 大規模なショッピングモール)を重視したことで、オフライン(路面店)の出荷が増えた。加えて、下取り価格が有利なことも、消費者にとってiOSへの乗り換えを魅力的にした。」

 

 

出典:Counterpoint Research Monthly India Smartphone Tracker

 

 

その他の大事なポイント

 

オフラインチャンネルの成長:オフラインチャンネルは年間を通じて成長し、2023年には全体の55%を占めるに至った。消費者がルック・アンド・フィールを重視するようになったからである。高級機指向が続くこと、下取りが増えること、さらに多様な支払いプランが提供されること、を考えると、オフラインチャンネルの増加は2024年も続くであろう。

 

2024年の見通し:

  • メーカー各社はCMF(製品の質感を決める、色・材質・仕上げ)をさらに重要視し、消費者にもそこに目を向けるよう促すであろう。
  • Dolby Atmos、Dolby Cision、Dolby Cision recordingなどの機能を搭載し、オーディオ・ビデオ性能を強化したスマホが増えると予測する。また消費者もショートビデオをDolby VisionのMojのようなプラットフォームで公開できるようになる。また、生成AIがスマホに組み込まれることで、個々のユーザーに従来以上にパーソナライズしたコンテンツや、デジタルアシスタントが登場するであろう。
  • より多くのメーカーが参入し、折り畳み型は高級機セグメントでさらに普及するだろう。2024年には折り畳み型の出荷は100万台の大台に乗るであろう。

 

その他主要各社の動向

  • OnePlusは2023年に前年比33%成長した。オフラインの販売網を拡充し、高級機の中でも値ごろな価格帯(30,000~45,000インドルピー、約4~8.1万円)の製品ポートフォリオを改善したことが効いた。
  • Transsionグループは前年比31%成長した。成長の要因は、販売チャンネルのハイブリッド戦略、高級機の機能の低価格帯機種への搭載、ティア2やティア3都市(訳注:インドでは人口やインフラ整備などの観点で都市が分類される。ティア2は人口100~400万、ティア3は人口50~100万。JETROではコストが安い割にインフラが整っているティア2を成長の原動力、ティア3を新興と分析している。)における高いプレゼンス、である。
  • 他のメーカーで2023年に成長したのは、Google(111%)Lava(36%)Motorola(13%)である。

 

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Market Monitor の調査は、各社のIR情報やインタビューに基づく出荷台数の推定、販売チャネル側からの裏付け、流通過程でのデータチェック、その他二次的調査、に基づいています。

 

弊社のData Section(四半期ごとに更新)におきましても、全世界米国中国インドについてまとめたスマホ市場のシェアを、ご覧いただけます。

 

 

Team Counterpoint

Counterpoint Researchは若く急成長中の調査会社で、ハイテク業界の分析を得意としている。カバーする領域は、コネクテッド機器、消費者向けデジタル製品、ソフトウェアとアプリケーション、および関連分野のトピックスである。当社の調査チームがまとめて発行するレポートに加え、要望に合わせてカスタマイズしたレポートも提供している。また、セミナーやワークショップを企業向けに開催して好評を得ており、依頼があれば実施している。特に高精度の調査を必要とするプロジェクト向けには、コンサルティングやカスタマイズした調査活動も実施する。