• 成長:AP-SoCの出荷は、過去2年間の減少を経て、2024年は9%のリバウンドと予想される。
  • 要因:最先端プロセスノードが業界成長の鍵となる。AppleやQualcommが開発するフラグシップのチップが5/4nmから3nmへ移行するからである。
  • 要因: 5/4nmも成長に貢献している。スマホ各社が、エントリーレベル5G向けに採用するノードを、従来のノードから5/4nmへ切り替えているからである。
  • 見通し:MediaTekとQualcommが6/7nmから5/4nmへの移行で大きな恩恵を受けるだろう。なかでもQualcommは2025年まで支配的なポジションを維持するだろう。
  • 見通し:SMICは6/7nmで一定程度のシェアは確保するだろうが、より微細なノードの開発には困難な状況が継続する。
  • 見通し:フラグシップ製品の3nmへの移行は下半期になりそうだ。また、2nmへの移行は2026年後半までずれ込むだろう。

 

この2年間大きな落ち込みが続いたが、スマホ向け半導体の市場は底を入れたようである。Counterpoint Researchが提供する最新のSmartphone AP-SoC Long-term Shipment Forecast by Node and Foundryによれば、2024年のスマホ向けAP-SoCの出荷は前年比9%増のリバウンドになりそうである。この成長を支えているのは、フラグシップ製品が5/4nmから3nmに移行するからで、さらにそれはスマホの高級機と超高級機の成長が予測されていることに裏打ちされている。長期的には最も恩恵を受けるのはTSMCだろう。

 

 

「成長の要因がすべて最先端ノードに関連しているということは、長期的にTSMCを利するということだ。」と、Counterpoint ResearchのアソシエイトディレクターBrady Wangは、Foundry and Semiconductor 360 research serviceの中で語った。同氏はさらに以下のように続けた。「しかもAI半導体が急成長していることで、同社の短期的な見通しは、長期よりもさらに明るい。」

 

5/4nmノードも、最先端ノードの成長を支える。スマホメーカー各社が製品ポートフォリオをエントリーレベル5Gに切り替えるなかで、5/4nmも長期にわたって採用されることになりそうだ。その背景には、新興国市場の成長、消費者の5Gへの認知度の上昇、利用可能エリアの増加に伴う5G需要の増加、がある。

 

「ファブレス企業の中ではMediaTekとQualcommが4Gから5Gへの移行で大きな恩恵を受けることは周知の事実。」と、CounterpointでSemiconductor 360 research serviceを担当するシニアアナリストのParv Sharmaは語る。さらに「MediaTekにとって売れ筋の先端ノードで稼ぐ大きなチャンスではある。それでも、2025年まではQualcommが市場を支配するだろう。2025年における同社の5/4nmノードのシェアは50%近いだろう。」と続けた。

 

SMICは7/6nmノードで引き合いが増えるだろうが、それより微細なノードへの移行は、深紫外線露光装置の輸出禁止措置のために、遅れることになりそうだ。

 

2nmノードを取り巻く状況は相変わらず流動的であるが、AppleがiPhone 18を発売する2026年になるとみられる。

 

*注:プレスリリースの最後の文は「AppleがiPhone 18を発売する2026年」と訂正した。もとの文章では「iPhone 19シリーズ」としていた。

 

 

Team Counterpoint

Counterpoint Researchは若く急成長中の調査会社で、ハイテク業界の分析を得意としている。カバーする領域は、コネクテッド機器、消費者向けデジタル製品、ソフトウェアとアプリケーション、および関連分野のトピックスである。当社の調査チームがまとめて発行するレポートに加え、要望に合わせてカスタマイズしたレポートも提供している。また、セミナーやワークショップを企業向けに開催して好評を得ており、依頼があれば実施している。特に高精度の調査を必要とするプロジェクト向けには、コンサルティングやカスタマイズした調査活動も実施する。