2024.10.30| PR|

 

スマートフォン業界は、生成AI(GenAI)を活用した「超」パーソナライズ機能の実現に向かっています。最初のGenAI搭載機種が世に出てわずか一年ですが、そのインパクトは強烈です。GenAI搭載スマートフォンの出荷は、2028年までに7.3億台を超え、これは2024年の推定出荷台数の3倍以上になる、という調査結果を含むAI 360 Serviceを、カウンターポイント・リサーチ・エイチ・ケー(英文名:Counterpoint Research HK、以下カウンターポイント社)が発表いたしました。2028年には、250米ドル(約4万円)を超えるスマートフォンの10台に9台はGenAIを搭載するという計算になり、GenAIが広く普及していくことを示しています。

 

スマートフォン業界は、大きな画面、高速なプロセッサ、多数のカメラといったハードウェア性能の強化から、より賢く、利用シーンに対応し、パーソナライズされた体験の提供へと、大きく舵を切っています。従来の枠を超えた「超」パーソナライズは、高級スマートフォンではすでに始まっており、今後GenAI技術が成熟していくにつれ、上位機種、中位機種、そしてローエンド機種へて展開されていくでしょう。いまのところ、2024年と2025年で見れば、高級スマートフォン(卸値で600米ドル、約9.5万円超)がGenAI搭載スマートフォン出荷の主役で、全体のほぼ80%を占めています。

 

 

GenAIのユースケースは、まだハードウェアの性能差ほどの説得力がないので、GenAIを搭載したというだけでは、買い替えに直結しないと思われます。しかし、この状況は技術の進化とともに変わっていくでしょう。メーカー各社がGenAI機能を洗練させ、その応用広げていくなかで、GenAIの魅力は増していきます。初期段階ではGenAIの採用は高級スマートフォンが中心でしたが、2026年から2027年にかけて、上位価格帯(400~599米ドル、約6.5~9.5万円)と中位価格帯(250~399米ドル、約4~6.5万円)にも広がっていくとみられます。この上位と中位価格帯は2026年から2027年にかけてのGenAI搭載スマートフォン出荷の約30%を占めると予想され、その出荷の大部分を担うのは中国メーカーです。

 

スマートフォン業界は、GenAIのためのハードウェア・ソフトウェア両面のイノベーションを進め、低価格帯のスマートフォンでもGenAIが利用できることを狙っています。いわば、GenAIの民主化です。たとえば、チップセットを提供しているQualcommは、同社の半導体製品ポートフォリオの中~上位に、GenAIに最適化したプロセッサを投入しました。また、LLM(大規模言語モデル)でリードする大手各社は、スマートフォンでも高い性能が出せるよう軽量な言語モデルを開発中です。

 

スマートフォンメーカー各社は積極的にGenAIを製品に活用してユーザーエクスペリエンスの向上を図っています。さらには、旧機種向けのソフトウェアアップグレードを提供し、GenAIを体験できるようにする、という試みも始まっています。こうした動きによって、250米ドル未満のセグメントにおいても2027年から2028年にかけてGenAIの採用が広がるとみられ、出荷がさらに拡大することでしょう。

 

GenAIの進化が続けば、よりパーソナライズが進み、キラーとなるようなスマートフォン向けのユースケースも現れるでしょう。

 

 

【カウンターポイント社概要】

カウンターポイント社(英文名Counterpoint Research HK)はTMT(テクノロジー・メディア・通信)業界に特化した国際的な調査会社である。主要なテクノロジー企業や金融系の会社に、月報、個別プロジェクト、およびモバイルとハイテク市場についての詳細な分析を提供している。主なアナリストは業界のエキスパートで、平均13年以上の経験をハイテク業界で積んでいる。

公式ウェブサイト: https://www.counterpointresearch.com/