世界のPC出荷台数は2024年第3四半期に前年同期比1%増加し、6,530万台に達したとする暫定の予測値を、カウンターポイント・リサーチ・エイチ・ケー(英文名:Counterpoint Research HK、以下カウンターポイント社)が発表いたしました。2024年第1四半期以降、前年同期比成長が続いています。小売りの製造からの仕入れがいつもより早く第2四半期に行われ、また中国と欧州の第3四半期の需要もさえないものでしたが、それでも第3四半期の出荷は第2四半期より5%ほど増加しています。これは、Windows 10のセキュリティアップデートとテクニカルサポートが2025年に終了する前に買い替える動きがあることと、AI PCの販売が伸びていることとが要因です。
2024年上半期に在庫レベルが正常化し、PCベンダーは新機種を多く発売するようになりました。Lenovoにとっては、第3四半期で4四半期連続して出荷が前年同期より増加しています。買い替え需要の波に乗り、同社は2020年第4四半期以来となる25%の市場シェアを取り戻しました。また、HPとDellは、主に北米市場での需要と企業からの受注増を受けて、この四半期も底堅い動きをしています。Appleはこの四半期にあまり動きがありませんでした。これは、M4プロセッサを搭載したラップトップとデスクトップの発売を待って買い控えてが起きているからです。10コアのCPUを載せたM4プロセッサベースのMacBook Proは第4四半期の注目商品のひとつとなりそうです。
出典:カウンターポイント社
2021年以来、学校の新年度が始まる時期であるにも関わらず、第3四半期はコロナ前のレベルに戻っていません。これは、働き方とライフスタイルが変化したことと、企業の購買戦略が変わったこととが、原因であるとみられます。
AI PCとPCの市場について、シニアアナリストのWilliam Li氏は次のように述べています。
「AMDとIntelが2024年第3四半期に新しいCPUプラットフォームを投入して以降、GenAI(生成AI)搭載PCの需要は、特にラップトップで、徐々に高まっている。しかし、人々は今なお、日々の業務に役立つようなAI PCならではのキラーアプリが何なのか、見極めようとしている状態だ。それが見えてくるのにそう時間はかからず、そのあとは出荷が一段と加速するだろう。」
まとめると、Windows 10サポート打ち切りによる買い替え需要はだんだんなくなっていき、代わってAI PCが成長の原動力になる、ということになります。年末に向けてこれからの祝祭シーズンがあるので、今年ここまで前年同期比2%の出荷増の勢いは、これからも続くものと予想されます。
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【カウンターポイント社概要】
カウンターポイント社(英文名Counterpoint Research HK)はTMT(テクノロジー・メディア・通信)業界に特化した国際的な調査会社である。主要なテクノロジー企業や金融系の会社に、月報、個別プロジェクト、およびモバイルとハイテク市場についての詳細な分析を提供している。主なアナリストは業界のエキスパートで、平均13年以上の経験をハイテク業界で積んでいる。
公式ウェブサイト: https://www.counterpointresearch.com/