MWCバルセロナ 2025が開幕しました。カウンターポイントリサーチのアナリストが現地を訪問し、主要な発表を追跡。テクノロジー業界への幅広い影響をレポートします。二日目のハイライトは次のとおりです。
英NothingがPhone 3aシリーズのラインナップを拡充

出典: Nothing
英国のスマートフォンブランドNothingが、Phone 3aとPhone 3a Proを発表しました。両モデルともQualcommのSnapdragon 7s Gen 3 AP SoCを搭載し、同社独特の透明デザインと光の演出を行うGlyphインターフェイスを継続搭載しています。このシリーズは、性能とデザインの美学をバランスさせながら、主要市場でのプレゼンスを拡大するというNothingの戦略を象徴しています。
カウンターポイントからのアドバイス:
Nothingは、1年ぶりにAシリーズのスマートフォンを刷新し、より高性能なカメラを搭載し、より高価格なProモデルを追加しました。これらのスマートフォンは、QualcommのSnapdragon 7s Gen 3を搭載し、ミドルレンジで増加するAI対応機器にならい、AI機能を搭載しています。NothingのAIアプローチは、画像生成や消しゴムなどの個々の機能を省きながらUXを向上させることを目指しています。これらの端末は、手頃な価格と、主にハードウェア、カメラ、ディスプレイ、充電機能の向 上により、販売促進につながる可能性があります。また、Nothing Phone 3も今年発売される予定であり、ブランドのさらなる成長が期待できます。ただし、Proモデルは非Proモデルと同じチップセットを使用しており、2つのモデル間の差別化は少なくなると考えています。
SamsungがGalaxy S25 Edgeを発表

出典: Samsung
Samsungは、1月のGalaxy Unpackedイベントで初めて発表したGalaxy S25 Edgeについて詳しく紹介しました。この超薄型端末は、他のS25モデルよりもスリムになると予想されており、洗練されたフォームファクターを好むユーザー向け製品として位置付けられています。発売時期の詳細は明らかにされていませんが、Samsungがデザイントレンドを引き続き改良していることは、プレミアムセグメント内で差別化を図る継続的な取り組みを示唆しています。
カウンターポイントからのアドバイス:
Samsung Sシリーズは、世界で最も人気のあるプレミアムAndroidスマートフォンです。Samsungは、ラインナップにS25 Edgeを追加し、さらなる勢いを加えています。機能や性能面で、Sシリーズはすでに非常に成熟していますが、Samsungは、厚さを重要な要素として、デザイン面で差別化を図る新しいアプローチを行っています。この端末は、2025年後半にリリース予定のiPhone Airよりも先に戦略的に発売されました。これより、多くのOEMが価値主導の戦略に追従するするようになり、プレミアム市場での競争がさらに激化すると考えています。
TECNOがSpark Slimを発表

出典: TECNO
TECNOは、Spark Slimスマートフォンを発表しました。厚さ5.75mmのこの機種は、市場で最も薄いスマートフォンの1つとなります。この端末は、クロムミラー仕上げのステンレススチールフレームとセラミックオプションで構成されています。6.6インチの3D曲面OLEDディスプレイは、120Hzのリフレッシュレートをサポートし、LEDフラッシュを備えた50MPのデュアルカメラシステムを装備します。TECNOは、低価格帯で高級素材を使用した超薄型スマートフォンの需要の高まりを反映したアプローチを取っています。
カウンターポイントのアドバイス:
これはまだコンセプトモデルで発売日情報はありませんが、デザインの点で業界の向かう方向性を知る手がかりになります。Galaxy S25 Edgeや、iPhone 17シリーズとともに開発されているiPhone Airによって、”薄さ”が、新たな差別化要因となることがさらに強調されると考えています。厚さ5.75mmの端末に5200mAhのバッテリーを搭載しているのも印象的です。これは同社のバッテリー技術の進歩を示しており、私たちはすでに、より薄いフォームファクターでより多くの電力を詰め込んだSiCバッテリーの搭載を目にしているのです。
オープンテレコムAIプラットフォームが業界の支持を獲得

出典: AMD, Jio, Nokia, CISCO 各社企業ロゴ
Jio Platforms Limited (JPL) は、AMD、Nokia、Ciscoと提携して、通信ネットワーク向けのオープンソースAIプラットフォームを開発しました。この取り組みは、さまざまなネットワーク運用にわたってAIと自動化を統合し、効率性と拡張性を向上させることを目的としています。AI主導のネットワーク管理が普及するにつれて、このコラボレーションは、よりインテリジェントで自律的な通信インフラに向けて業界全体が移行していることを反映しています。
カウンターポイントのアドバイス:
5Gへの投資が安定するにつれ、モバイルオペレーターはインフラの展開から収益化、コスト効率、サービスイノベーションへと焦点を移しつつあります。JioがAMD、Cisco、Nokiaと共同で開発したオープンテレコムAIプラットフォームは、ネットワーク運用全体にAIによる自動化を組み込むことを目的としています。AMDのコンピューティング能力、CiscoのAIによる分析力、NokiaのRANおよびコアネットワークに関する専門知識は、これらの機能拡張のための強力な基盤を提供します。この取り組みの最も重要なのは、世界じゅうの通信事業者が複製可能なモデルとして設計されたオープンソースフレームワークというポイントです。AIを活用したネットワークが進化するにつれて、エージェントAI、ドメイン固有のLLM/SLMの統合は、リアルタイム意思決定の改善、リソース割り当ての最適化、ネットワーク全体のセキュリティと効率の向上の鍵となります。このコラボレーションは、AIによる通信自動化に向けた業界の幅広い推進を示しており、企業とユーザーの双方にメリットをもたらす、スケーラブルでインテリジェントな適応型ネットワークの先例になると考えています。
OPPOがAI統合を推進

出典: OPPO
OPPO AI Tech Summitで、OPPOはAI戦略の概要を説明し、システム全体のAI強化とセキュリティの改善、プライベートコンピューティングクラウドの進歩を強調しました。同社はGoogleとの連携を強化し、AI機能をエコシステムに統合しています。Google Geminiは、メモ、カレンダー、時計などのOPPOのコア・アプリケーションに組み込まれ、Gemini 2.0への対応も予定されています。OPPOは、プライベート・コンピューティング・クラウドを実装した最初のスマートフォンブランドの1つであり、ユーザーはGemini内でOPPOアプリ全体を通してアクションを実行でき、セキュリティとアプリ間の機能を向上しています。OPPOのシステムレベルでのAIへの注力は、よりパーソナライズされ、応答性の高いスマートフォンエクスペリエンスを目指す業界の幅広い動きと一致しています。
カウンターポイントのアドバイス:
スマートフォンOEM各社はGoogleとの緊密な提携を発表しており、OPPOもそれに追随しています。OPPOはAndes GPTという独自のLLMを中国に有していますが、グローバル市場でより深いAI統合を提供するため、Geminiとの提携を拡大しています。OPPOはまた、ミドルレンジでAIの民主化に積極的に取り組んでいるOEMの1つでもあります。
OPPOの重要な発表の1つは、プライベート・コンピューティング・クラウドの導入です。Appleは、プライベート・クラウド・コンピューティングを通じて、AI機能とプライバシーのバランスを絶妙に維持してきました。Android陣営では、OPPOがその先駆けとなります。ユーザーはAIの利用には積極的であるものの、自分のデータを手放すことには懐疑的であるため、このアプローチは重要なことだと考えています。
PerplexityとドイツテレコムがAI端末で提携

出典: ドイツテレコム
Perplexity AIとドイツテレコムは、AIスマートフォンの共同開発を進めており、2026年に1,000ドル以下で発売する予定です。この端末には、Perplexity AIがデフォルトのアシスタントとして搭載され、従来の検索エンジンやアプリのやり取りが、より直感的なAIエクスペリエンスに置き換えられます。これは、AIがユーザーインタラクションの主なインターフェイスとして機能する「アプリレス」スマートフォン・エコシステムへコンセプトが移行する可能性を示しています。
カウンターポイントのアドバイス:
AIは、スマートフォンを含むさまざまな分野で顧客体験を再定義すると期待されています。AIはコネクティビティの中心となる可能性は十分にあります。すでに、スマートフォンOEM各社は1年間、AIスマートフォンを販売してきました。
スマートフォン市場は非常に成熟しており、トッププレーヤーはしばらくの間変わっていません。「AI」のような新しい構造的特徴が登場すると、新しいプレーヤーが躍進する余地があります。ドイツテレコムはAIスマートフォンで市場に参入します。ByteDanceもまた、AIスマートフォンを発表しており、2025年第3四半期に発売する予定です。
アプリレスのスマートフォンの登場は、将来的にAIがアプリを必要とせずにタスクを実行するようになる可能性を垣間見せてくれます。これは、アプリや検索エンジンの代わりに、OEM、オペレーター、AIがタームをコントロールできることを意味します。