2025.06.24| PR|

スマートフォンSoCのノード移行が加速:5/4nmが主流となり、2nm競争が始まる

【ソウル、北京、深圳、香港、ニューデリー、フォートコリンズ、ロンドン、台北、東京 – 2025年6月23日】

カウンターポイント・リサーチによる最新のグローバルAP-SoC長期予測(Nodes)によりますと、2026年にはスマートフォン向けSoCの約3分の1が、3nmおよび2nmといった先端ノードを採用する見込みです。これは、性能と電力効率の向上が主な要因です。Generative AI(GenAI)スマートフォンの普及拡大と、高度な処理能力へのニーズの高まりが、このノード移行の主要な推進力になると見られています。

2025年には、Appleが3nmノードの採用を主導し、同社の製品ポートフォリオの80%以上が3nmノードを採用する見通しです。さらに、2026年にはApple、Qualcomm、MediaTekが、TSMC製の2nmノードを採用すると予測されています。

また、5/4nmノードは2026年のスマートフォンSoC出荷の3分の1以上を占め、最も採用数の多いノードになると見込まれています。

先端ノードの採用動向:3nmから2nmへ

Appleは、TSMCの3nmプロセスを採用した最初のスマートフォンOEMであり、2023年に発売されたiPhone 15 Proシリーズに搭載されたA17 Pro SoCで初めて採用されました。2024年には、QualcommとMediaTekもそれぞれ3nmプロセスのフラッグシップSoCを投入し、2025年には新しいフラッグシップモデルにおいて3nmが主流になると予想されています。

これらの先端ノードは、デバイス内AI、没入型ゲーム体験、高解像度コンテンツ処理など、スマートフォンに求められる高度なパフォーマンスと効率性を実現しています。3nmおよび2nmノードは、高いトランジスタ密度と高速なクロック速度を提供し、演算能力を大幅に向上させます。

専門家の解説

カウンターポイント・リサーチのシニアアナリスト、パーブ・シャルマは次のように述べています。

「複雑なデバイス内AI機能に対する需要の高まりにより、より小型で高性能かつ効率的なノードへの移行が加速しています。さらに、ウエハ価格の上昇とSoCにおける半導体使用量の増加が、全体のコスト上昇にもつながっています。3nmおよび2nmノードは、スマートフォンSoCにとって重要な節目となり、2026年までに出荷されるSoCの約3分の1がこれらを採用すると予想されます。」

また、彼はノード移行のトレンドについても以下のように述べています。

「TSMCは2025年後半に2nmノードのテープアウトを開始し、2026年には量産を開始する予定です。Apple、Qualcomm、MediaTekは、2026年後半に最初の2nmフラッグシップSoCを投入する見込みです。当初の2~3年間は、2nmノードはフラッグシップおよびプレミアムSoCに限定されます。一方、ミッドティア向けSoCは、まず5/4nmに移行し、その後数年間で3nmへと段階的に進むと見られます。5/4nmノードは、2026年にはスマートフォンSoC出荷の3分の1以上を占める主力ノードとなります。エントリーレベルの5G SoCも、現在の7/6nmから5/4nmへと移行していきます。」

Global Smartphone SoC Shipments Share by Node

Source: Counterpoint Research Global AP-SoC Long-term forecast by Nodes

 

TSMCファウンドリーの優位性

TSMCの市場における強みについて、アソシエイトディレクターのブレイディ・ワンは以下のように述べています。

「TSMCは、チップ製造において紛れもないリーダーです。2025年には、TSMCが5nm以下のプロセスノード(3nmおよび2nm)で87%のシェアを獲得し、スマートフォン向けSoCの出荷台数でトップに立つと予想されます。そして2028年末には、そのシェアは89%に達する見込みです。Apple、Qualcomm、MediaTekといった大手ファブレス企業は、最先端技術の実現においてTSMCへの依存を強めています。」

「一方、Google TensorやSamsung Exynosは現在、Samsung Foundryを利用しています。Samsungは過去に歩留まりの問題に直面したことで、スマートフォンにおける3nmの採用が遅れました。しかし現在は、3nmおよび2nmノードに注力しており、2026年までに2nmプロセスの量産を開始する見通しです。」

さらに彼は、次のように述べています。

「ミドルレンジからフラッグシップまで、スマートフォンの未来は4nm以下の先端プロセスノードに大きく依存しています。TSMCとSamsung Foundryに次ぐ存在はほとんどなく、その一角にあるのがSMICです。SMICはHiSilicon向けにSoCを製造しており、Huawei製スマートフォンに搭載される予定です。ただし、米中間の地政学的な緊張や、EUV露光装置の輸出規制により、SMICは7nmノードにとどまっています。もしSamsung Foundryが2nm・3nmへ急速にスケールアップし、SMICがEUV装置を導入できれば、TSMCの優位性が揺らぐ可能性もあります。」

カウンターポイント・リサーチについて

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