カウンターポイントリサーチ (英文名: Counterpoint Research 以下、カウンターポイントリサーチ社)は、2025年第4四半期にメモリ価格は30%上昇し、年初来で既に50%値上がりしている上に、来年初めにはさらに20%上昇する可能性があるという調査結果を含むカウンターポイントリサーチ社の隔週レポート「Memory Solutions for GenAI」最新版による市場予測を発表致しました。

カウンターポイントリサーチ社の隔週レポート「Memory Solutions for GenAI」最新版の最新調査によると、2025年第4四半期にメモリ価格は30%上昇し、年初来で既に50%値上がりしている上に、来年初めにはさらに20%上昇する可能性があるという市場予測を発表いたしました。

主要な論点の一つは、AI需要に応えるため、サプライヤーがより先進的なチップへの生産シフトを進めた結果、旧世代のLPDDR4の供給が逼迫し、市場の歪みを招いていることにあります。スポット価格の不均衡が生じており、サーバーやPC向けのDDR5は1ギガビット当たり約1.50ドルで取引される一方、民生機器で用いられる旧世代のDDR4は2.10ドルと、次世代のHBM3e(約1.70ドル)よりも高い水準となっています。

カウンターポイントリサーチ社は、主要メモリ各社で2026年にDRAM生産量が20%超増加すると予測しています。カウンターポイントリサーチ社リサーチディレクターMS Hwang氏は次の通り述べています。
「Samsungは拡大中の1Cプロセスを再配分する可能性があり、SK hynixは生産を押し上げ販売目標を引き上げている。CXMTは上振れのサプライズをもたらすかもしれず、通常ROIに厳格なMicronも今回は抑制的にはならない可能性がある。」

 

次世代のメモリにおける長期的かつ広範なリスク

現在の半導体チップ不足は、主に旧世代品の逼迫にあり、LPDDR4を用いる低価格スマートフォンなど、低価格帯の民生機器に影響を及ぼしています。

「差し迫っている比較的大きなリスクは、次世代メモリにあります。NVIDIAが最近LPDDRへ舵を切ったことで、同社は主要スマートフォンメーカー並みの規模の顧客になり、そして、サプライチェーンにとっては、この規模の需要を容易には吸収できない、地殻変動級の変化となりました」とHwang氏は述べています。

伝統的にサーバーは信頼性のためECC(エラー訂正コード)付きのDDRメモリに依存してきましたが、NVIDIAは省電力のためLPDDRへ転換し、エラー訂正をDDR5のECCに頼らずCPU側で処理する方向にあります。

これに応じて、供給が極めて逼迫するシナリオにおいて、2025年第1四半期から2026年末にかけてDDR5 64GB RDIMMのDRAMモジュール価格が2倍になるとカウンターポイントリサーチ社では予測しています。

図: DRAM価格シナリオ(DDR5 64GB RDIMM)

カウンターポイントリサーチ 2025年第4四半期 メモリ市場 DRAM価格

出典: カウンターポイントリサーチ社 ‘Memory Solutions for GenAI’ Bi-Weekly, Issue 21

現在の不足は、主にスマートフォン市場のローエンドで感じられており、低価格帯スマートフォンメーカーを直撃しています。「しかし、その痛みはスマートフォンおよび民生機器のより広いエコシステムに波及する可能性があります」とカウンターポイントリサーチ社シニアアナリストIvan Lam氏は述べています。「スマートフォンのBoMsコストの大幅な上昇で、機種によっては15%超に達し、主要な中〜高価格帯セグメント全体で利幅を削るか成長に影響する、あるいはその両方になり得る可能性があるということを私たちはここで提起したいと思います。」

これらすべては、関税や地政学、雇用動向といったマクロリスクに左右されることで、さらなる不確実性の層が加わることとなります。業界は現在、供給能力の制約と価格高騰が入り混じる不安定な状況に直面しており、サプライヤーとメーカーの双方にとって痛みを伴うトレードオフを迫ることになると考えられます。

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今回の発表は、チャネル情報、POSデータ、ディストリビューターアンケート調査、公開データなどボトムアップデータソースとトップダウンリサーチの組み合わせによるカウンターポイント社独自の調査方法で実施したものです。 (調査時期:2025年10月1日~2025年11月19日)

【カウンターポイントリサーチ社概要】
テクノロジーエコシステム全体にわたる製品を専門とするグローバル市場調査会社です。世界の主要なイノベーションハブ、製造クラスター、商業センターに拠点を構え、スマートフォンOEM、チップメーカー、チャネル企業、大手テクノロジー企業など、幅広いクライアント様にサービスを提供しています。経験豊富な専門家が率いる当社のアナリストチームは、経営幹部から戦略、アナリストリレーション(AR)、市場情報(MI)、ビジネスインテリジェンス(BI)、製品・マーケティングの各分野のプロフェッショナルまで、企業全体のステークホルダーと連携し、市場データ、業界のソートリーダーシップ、コンサルティングといった幅広いサービスを提供しています。
公式ウェブサイト: https://www.counterpointresearch.com/