Appleの2024年第4四半期(同社の会計では2025年度第1四半期)の売上は前年同期比4%上昇して1,240億米ドル(約18.8兆円)に達しました。これで、ハードウェアとサービスがともに成長するのは、3四半期連続になります。ハードウェアは前年同期比2%し、一方でサービスの売上は6四半期連続での二桁成長を続け、前年同期比では14%の伸びでした。通年では売上は3,960億米ドル(約60.2兆円)の見通しで、際立った伸びではないものの、4,000億米ドルの大台まであと少しに迫っています。ハードウェアの売上は2,960億米ドル(約45.0兆円)で前年同期比1%減、サービスの売上は990億ドル(約15.0兆円)で前年同期比14%増となっています。
この結果について、カウンターポイント・リサーチ・エイチ・ケー(英文名:Counterpoint Research HK、以下カウンターポイント社)のシニアアナリストであるVarun Mishra氏は次のようにコメントしています。
「中国での売上が前年同期比11%落ち込んだにもかかわらず、Appleは過去最高の売上を記録した。中国は世界第2位のiPhone市場だ。売上の数字からは、Appleのビジネスがいかに多様化しているかがわかる。サービス事業の存在、モデルチェンジまでの期間が異なる商品によるポートフォリオ、新興市場の成長、人気商品の存在、といった要因が、記録的な売上高につながった。Proシリーズの、iPhone 16シリーズ全体に占める割合はiPhone 15の時より高いことも理由だ。MacもiPadも、ASP(平均売価)が対前年で上昇している。これらすべてが、売上成長を支えているのだ。」
Mishra氏はさらに次のように続けています。
「Appleは積極的にApple IntelligenceのプロモーションをiPhone 16で行っている。それでも、Apple Intelligenceが販売を大きく伸ばしているわけではない。消費者の認知度はまだ低く、地域ごとのサポート開始のずれや、言語対応の遅れとあいまって、販売にはつながっていない。」
出典:Counterpoint Research Apple 360
サービス事業は引き続きAppleにおける花形で、高い成長率を常に保ってきました。2025年中もこの勢いが続きそうです。新興国市場でiPhoneの普及が進めば、サービスの普及もあとからついてくるからです。
Appleは、2024年はうまく事業を伸ばしてきました。しかし2025年に入るとリスクも見えてきます。カウンターポイントのリサーチディレクターであるTarun Pathak氏は、2025年のAppleについて、次のようにコメントしています。
「いろんな理由で2025年はAppleの動向を注視する必要がある。まず、Apple Intelligenceは、まだ買い替えの動機になっていない。顧客にとって価値のあるものにし、微調整して最適な機能に仕上げるには、まだやることがたくさんある。いかに、Appleが中身を充実させ、サービス対象地域を広げられるかで、2025年の成長が決まる。中国での競争も、楽観視はできない。Huaweiが復活し、他の中国メーカーも競合製品を出し、そしてApple Intelligenceが使えないからだ。中国の補助金制度(スマートフォンなどのデジタル家電の購入に補助金が出る)が中国市場の動向に影響を与えることも見逃せない。Appleは、こうした不確定要素の多い状況に対処しなくてはならない。」
【カウンターポイントリサーチ社概要】
カウンターポイントリサーチ社(英文名Counterpoint Research HK)はTNT(テクノロジー・メディア・通信)業界に特化したグローバルな調査会社です。主要なテクノロジー企業や金融系企業に、モバイル、車載、AIなどハイテク市場についての週次・月次・四半期毎に、市場データ、個別プロジェクト、詳細な分析レポートを提供しています。また、ハイテク業界で経験を積んだエキスパートが当社のアナリスト陣を構成しています。
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