2025.04.09| PR|

BYDはTeslaを抜き、2025年中にバッテリー駆動電気自動車(BEV)として初めて世界のトップになる見通しで、世界市場のシェアは15.7%が見込まれます。この調査結果を含むGlobal Passenger EV Forecastを、カウンターポイント・リサーチ・エイチ・ケー(英文名:Counterpoint Research HK、以下カウンターポイント社)が発表しました。BYDにとっては大きなマイルストーンです。同社の技術力と、電池と車体の垂直統合型製造モデルによって達成できました。中国の補助金や税制優遇などの施策による後押しも大きく効きました。

BYDが最近発表した超高速充電システムはBEVの使い勝手の面で従来と一線を画し、充電時間や利便性に関する消費者の不安に応えるものです。以下のような特徴を持っています。

  • 1,000Vの充電回路:高効率な電池へのエネルギーの転送を可能にし、充電時の損失をおさえる。
  • 充電速度10C(クーロン、電荷=電気の量の単位)が可能な電池:400km走行分の充電をわずか5分で可能に。
  • シリコンカーバイド製パワーIC:電力効率と耐熱性を向上させる。
  • ブレード型電池:BYD独自のLFP電池(リン酸鉄リチウムイオン電池、高価なレアメタルが不要、火災リスクが低い、寿命が長い、などの長所がある)であるブレード型電池は安全性、耐久性、超高速充電に最適化されている。

 

カウンターポイント社のリサーチアナリスト、Abhik Mukherjee氏は、次のように述べています。

「この充電システムは航続距離400kmの電気をわずか5分で充電できる。業界の新たな基準になるだろう。TeslaのSuperchargerは275kmを10分だから、はるかに速い。これで充電時間に関わる消費者の懸念を大きく払しょくでき、EVの普及にはずみをつけるだろう。」

これとは対照的に、Teslaは問題を抱えています。まずCEOのElon Musk氏の政治的発言で企業イメージが損なわれ、主要市場である米国と欧州で消費者離れが起きました。2025年に関する私たちの暫定データでも、すでに売上が鈍化していることがわかります。

また、米中貿易摩擦や中国製EV部品への追加関税など、地政学的な緊張が、Teslaのサプライチェインに混乱を招いています。こうした要因と、新車発売の遅れ、それに競争の激化が、2025年のTeslaの業績に影を落とすでしょう。

カウンターポイント社のアソシエイトディレクター、Liz Lee氏は次のようにコメントしています。

「CEOのElon Musk氏は、Teslaにオウンゴールの失点を与えたようなものだ。2025年第1四半期の業績がどれくらい悪化するか、そろそろ数字が出るころだ。これは、BYDにとってまたとないチャンスで、高速充電を本当に世の中に出すことができれば、BYDにとっても、ひいては中国のBEV業界にとっても、ターニングポイントになるかもしれない。」

BYDの強さの源泉は垂直統合にあります。電池、モーター、制御回路などの基幹部品を子会社を通じて管理しており、さらに充電インフラにも手を出そうとしています。こうして隅々まで自社のコントロールを行き渡らせることで、BYDは利益を犠牲にすることなく、価格競争力のあるクルマを世に送り出すことができます。それによって、同社の市場でのポジションはさらに盤石なものになることでしょう。

注:

*BEVはここではバッテリー駆動電気自動車のことを指します。

*売上数値は、卸し段階、つまり自動車メーカー各社が出荷する時点の価格です。

 

【カウンターポイントリサーチ社概要】

カウンターポイントリサーチ社(英文名Counterpoint Research HK)はTNT(テクノロジー・メディア・通信)業界に特化したグ
ローバルな調査会社です。主要なテクノロジー企業や金融系企業に、モバイル、車載、AIなどハイテク市場についての週次・月次・四半期毎に、市場データ、個別プロジェクト、詳細な分析レポートを提供しています。また、ハイテク業界で経験を積んだエキスパートが当社のアナリスト陣を構成しています。
公式ウェブサイト: https://www.counterpointresearch.com/