カウンターポイントリサーチ (英文名: Counterpoint Research 以下、カウンターポイントリサーチ社)は、サーバー向けAI Server Compute ASICsのグローバル出荷は、2024年比で2027年までに3倍になる見通しであるという市場予測を含むData Center AI Server Compute ASICs Shipment Forecast and Trackerによる最新調査を発表致しました。


カウンターポイントリサーチ社のHPC(High Performance Computing)サービスが提供する最新のData Center AI Server Compute ASICs Shipment Forecast and Trackerによると、サーバー向けAI Server Compute ASICs(Application-Specific Integrated Circuits 特定用途向け集積回路)のグローバル出荷は、2024年比で2027年までに3倍になる見通しです。

この爆発的な成長は、Geminiを支えるGoogleのTPUインフラストラクチャーに対する強い需要、AWS Trainiumクラスターの継続的なスケール拡大、そしてインターナル・シリコン・ポートフォリオを拡充するMeta(MTIA)およびMicrosoft(Maia)の増加によって支えされています。

データセンター向けAI Server Compute ASIC市場の拡大に関して、カウンターポイントリサーチ社リサーチバイスプレジデントNeil Shahは次の通り述べています。
「自社設計のAI Server Compute ASICの成長は、インハウスによるカスタムXPUの時代を裏付けています。そして、AIアクセラレーターが(学習や推論といった)特定のワークロード向けに作り込まれ、汎用GPUだけへの依存から構造的に多様化が進みます。電力や設置スペースがボトルネックになる中、AIワークロードの一部を垂直統合型のシリコンへ移行することで、ハイパースケーラーはより大きなコントロールと交渉力を得られますが、その一方で、AIワークロードを最適化し電力・性能面のメリットを得るためには、相応のソフトウェア統合・最適化が必要になります。」

Shahはさらに次の通り付け加えています。
「潮目は急速に変化しており、データセンター向けAI Server Compute ASICのグローバル出荷は2028年に1,500万を超え、データセンターGPUの出荷を上回ると見ています。上位10社のAIハイパースケーラーだけで、2024~2028年に累計4,000万超のAI Server Compute ASICチップを展開することでしょう。こうした前例のない需要を支えているのは、GoogleのTPU PodsやAWSのTrainium UltraClustersのように、ハイパースケーラーが自社スタックを基盤とした大規模なラックスケールAIインフラストラクチャーを構築し、1台のスーパーコンピューターとして運用できるようにしている点にあります。」

AIハイパースケーラー別の出荷量では、Geminiエコシステムの爆発的な成長を背景に、Googleが2027年まで市場で首位を維持すると予測されます。

 

図1: AI Server Compute ASIC 出荷シェア・2024年と2027年の比較

出典: カウンターポイントリサーチ社HPC Service
※四捨五入により、合計が100%にならない可能性があります

 

Googleの優位性に関して、カウンターポイントリサーチ社リサーチアソシエイトDavid Wuは次の通り述べています。
「TAMの拡大や、Broadcom、Marvell、Alchipといった設計会社と提携してインターナルシリコンを採用する競合ハイパースケーラーの増加により、Googleのシェアは2027年に52%まで低下すると見込まれます。しかし、GoogleのTPU群は引き続き、依然として業界における数量面の中核のポジションを維持し、業界の指針であり続けることでしょう。この前提は、次世代Geminiモデルの学習および提供に必要となる膨大かつ継続的な計算需要であり、インターナルシリコンインフラストラクチャーを継続的かつ積極的に増強していく必要があるという点に支えられています。」

AI Server Compute ASIC市場全体は構造転換の途上にあり、2024年にGoogleとAWSが支配した集中型の二強から、多様化したエコシステムへと進化しています。2027年までに、Meta(MTIA)およびMicrosoft(Maia)の数量の増加も加わり、出荷構成は分散していく見通しです。この変化は、ハイパースケーラー各社が、市販シリコン(例: NVIDIA)からの脱却を進め、自社の特定ワークロードに対してワット当たりの性能を最適化するために、社内カスタムシリコンのスケールを拡大するという戦略的転換を示しています。

 

図2: AI Server Compute ASIC 設計サービスパートナー別シェア・2024年と2027年の比較

出典: カウンターポイントリサーチ社HPC Service
※四捨五入により、合計が100%にならない可能性があります

 

AI Server Compute ASICの設計パートナーの勢力図に関して、カウンターポイントリサーチ社アソシエイト・ディレクターBrady Wangは次の通り述べています。
「BroadcomはAI Server Compute ASICの設計パートナーとして第1の選択肢であり続けてきましたが、新たに台頭するGoogle–MediaTek連合から競争圧力が強まる局面に入っています。この変化は、今後のTPU v8シリーズで最も顕著です。Googleはデュアルソーシング戦略を採用しており、Broadcomが高性能なTPU v8AX 「Sunfish」(学習)で優位を維持する一方、MediaTekは推論向けTPU v8x「Zebrafish」の設計パートナーを獲得しました。」

MediaTekの大規模増加は約1年の遅延に直面しているものの、データセンター分野への参入は、Broadcomの長年の市場支配に対する強力な挑戦となります。Wangはさらに次の通り付け加えています。
「Broadcomは依然として強固な知財面での優位性を持ち、複雑な学習ワークロードで業界最高水準の効率を提供していますが、そのプレミアムな価格体系は、よりコスト効率を重視するMediaTekのアプローチと対照的です。Googleがグローバルインフラを積極的に拡大する中、サプライチェーンを多様化し、推論タスクの大量展開ではMediaTekの低コストソリューションを活用することが、戦略的に不可欠になっています。」

台湾のAlchipは、今後数年にわたる主要設計パートナーの1社としてAWSのサプライチェーンに拡大していく中で、市場ポジションを取り戻す見通しです。カウンターポイントリサーチ社によるサプライチェーンの確認より、Alchip参入が示唆されており、Marvellは将来のAWS Trainiumロードマップに関連して競争上の逆風が強まる可能性があります。MicrosoftのMaiaシリーズがデータセンター向けAI Server Compute ASICの主要な増加となる中で、Marvellはパイプラインの多様化を図る必要があることでしょう。競争激化により、Marvellのシェアは2027年に8%まで低下すると推定されますが、それでも2024年から2027年の間に出荷は倍増すると見ています。

今後数年のMarvellの競争ポジションに関して、カウンターポイントリサーチ社アソシエイト・ディレクターGareth Owenは次の通り述べています。
「現在のTrainiumシリーズの後に売上の空白が生じる可能性を回避し、成長ストーリーのリスクを低減するためにも、新規のデザインウィンを獲得することが重要になっています。一方で、Marvellのエンドツーエンドのカスタムチップ・ポートフォリオは、これまで以上に強固に見えます。カスタムHBM/SRAMメモリやPIVRソリューションといったカスタムシリコンの革新に加え、Celestial AIの買収により、スケールアップ・コネクティビティにおけるMarvellの対象市場が拡大しました。Celestial AIは、Marvellの年間売上に数十億ドル規模の上積みをもたらし得るだけでなく、今後数年でオプティカル・スケールアップ・コネクティビティにおけるリーダーシップ獲得を後押しする可能性があります。これらのイノベーションは、MarvellのカスタムXPUおよびXPUに付加されるオポチュニティにとって今後重要であり、設計シェアの改善にも繋がると考えています。」

本調査は、カウンターポイントリサーチ社のデータセンター向けコンピュートのトラッカーおよび予測を基に、供給側ではファウンドリ(フロントエンド・バックエンド)のウェハー消費量と生産能力の予測、需要側ではデータセンターのCAPEX、HPCサービスが提供するAIアプリケーション成長の見通しによる組み合わせに基づきます。

本プレスリリースに関する詳細並びに情報は、こちらからご覧いただけます。
https://counterpointresearch.com/en/reports/ai_asic_outlook

*本プレスリリースは2026年1月26日に発表されたプレスリリースの日本語版です。原文はこちらをご参照ください。
https://counterpointresearch.com/en/insights/AI-Server-Compute-ASIC-Shipments-to-Triple-by-2027

【カウンターポイントリサーチ社概要】
テクノロジーエコシステム全体にわたる製品を専門とするグローバル市場調査会社です。世界の主要なイノベーションハブ、製造クラスター、商業センターに拠点を構え、スマートフォンOEM、チップメーカー、チャネル企業、大手テクノロジー企業など、幅広いクライアント様にサービスを提供しています。経験豊富な専門家が率いる当社のアナリストチームは、経営幹部から戦略、アナリストリレーション(AR)、市場情報(MI)、ビジネスインテリジェンス(BI)、製品・マーケティングの各分野のプロフェッショナルまで、企業全体のステークホルダーと連携し、市場データ、業界のソートリーダーシップ、コンサルティングといった幅広いサービスを提供しています。
公式ウェブサイト: https://japan.counterpointresearch.com/