~ タタ・グループが推進するインドの半導体製造エコシステム ~
主なポイント
・インドのエレクトロニクス産業において、半導体エコシステムは急速に進展しています。これは、インド半導体ミッション(ISM)およびタタ・グループによる製造ユニットとATMP工場への140億ドル規模の投資コミットメントによるものです。
・この製造ユニットの主な受益者には、タタ・モーターズやテジャス・ネットワークスといったタタグループ傘下の企業が含まれています。これらの企業は、アナログ・デバイセズと協力を強化するための覚書をすでに締結しています。特に、カウンターポイントリサーチのAutomotive Trackerによると、タタ・モーターズは2025年第1四半期にインドのEV市場で38%のシェアを獲得しています。
・このファブとATMPユニットは、タタに利益をもたらすだけでなく、インド政府が掲げる「2030年までに国内付加価値を35%向上させる」という目標の達成にも貢献する見込みです。
・インドはスマートフォン生産において自立しており、2024年にはスマートフォン輸出が前年比22%増加する見込みです。これは、フォックスコンとタタ(ペガトロンとの提携を通じて)がインド国内で製造するiPhoneが主な要因です。
・民間部門と政府部門の両方が関与することにより、供給ショックの緩和や安全保障上の懸念に対処できる、現地のサプライチェーンが構築されています。
インドのエレクトロニクス部門が活況を呈する中で、半導体業界はインドを代表するコングロマリットであるタタ・グループの子会社、タタ・エレクトロニクスを中心に次のステージへと移行しています。タタ・エレクトロニクスは2020年に半導体分野に参入し、それ以降、急速に投資を拡大しています。
【レポート全文はこちらからご覧いただけます: システムからシリコンへ: インドの電子機器製造エコシステムの拡大におけるタタの役割】
タタは、グジャラート州ドレラにあるファブと、アッサム州ジャギロードにあるATMP(Assembly, Testing, Marking, and Packaging)工場の建設に140億ドルを投資し、インドの半導体産業の発展を最前線で支援しています。これらのプロジェクトは、インド半導体ミッション(ISM)による総支出の4分の3以上を占めています。
ドレラのファブは、最大28nmのプロセスノードに対応し、月産5万枚のウェーハを生産する能力を持っています。一方、ジャギロードのOSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test)施設は、ワイヤボンディング、フリップチップ、ウェーハレベルパッケージ(WLP)、および統合システムパッケージ(ISP)といった機能を備えています。
これらの施設は、タタグループ内部の部品需要のみならず、海外からの需要にも対応することが期待されています。とくに、インド政府が2030年までにエレクトロニクス製造における国内付加価値を35%にまで引き上げるという目標を掲げていることを踏まえると、今後の成長が期待される製造エコシステム全体に多大な機会をもたらすと見られています。
タタ・エレクトロニクスのパートナーシップは、インドの半導体製造エコシステムの構築における中核を担っています。タタは、技術パートナー、ツールプロバイダー、装置サプライヤー、IPベンダー、ソリューションベンダー、ICデザインハウスなど、事業を推進するために不可欠な各種パートナーと連携を構築することに成功しました。これにより、同社は生産インフラの整備を加速させ、インド初となる半導体工場の設立にこぎつけました。
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