-サービス部門と新興市場での好調が業績を牽引-

ソウル、北京、ベルリン、ブエノスアイレス、フォートコリンズ、香港、ロンドン、ニューデリー、台北、東京 – 2025年8月4日

【市場動向】

Appleは2025年第2四半期(2025会計年度第3四半期)において、売上高が前年同期比10%増の940億ドルとなり、第2四半期として過去最高を記録しました。これは、過去14四半期の中で最も高い前年同期比の成長率となります。
ハードウェア(前年同期比8%増)とサービス(同13%増)は、いずれも健全なペースで成長いたしました。iPhoneは総売上高の47%を占め、Macは9%を占めて最も急成長いたしました。サービス部門も総売上高の29%を占め、過去最高を更新しました。

 

【専門家の解説】

カウンターポイントリサーチのシニアアナリストであるヴァルン・ミシュラは、次のように述べています。
「Appleは第2四半期において、特に中国市場で在庫の一掃に注力しました。618プロモーション期間に向けて、特にProモデルにおいては驚くほど大幅な値引きが実施されました。米国では関税に関する不確実性を受けて出荷が前倒しされましたが、四半期末にかけては減少しました。iPhone 16eは日本市場での販売をけん引し、Appleにとって最も急成長している地域の一つとなりました。同モデルは米国でも好調でした。さらに、中東・アフリカ(MEA)やインドといった新興市場においても、力強い成長が続いています。」

同社のアソシエイトディレクターであるデビッド・ナランジョは、Macについて次のように述べています。
「Macは、M4チップセットを搭載したMacBookへの高い需要と、新学期に向けた典型的な購買行動に支えられて成長しました。全体として、Macの売上高は前年比15%増となりました。」

一方、ウェアラブル、ホーム、アクセサリ部門は、Apple WatchAirPodsの売上減少により、引き続き低迷しています。このセグメントは過去2年間にわたり不振が続いており、Apple Watchの売上は7四半期連続で減少しています。
買い替えサイクルの長期化に加え、売上をけん引していたApple Watch SEの新モデルが欠如していることが主な要因です。
このセグメントを再活性化するには、より高度な健康機能やAI機能の追加、デザインの刷新、そして新型SEモデルの発売が求められます。Watch SEは、iPhoneが好調な成長を示している新興市場において、戦略的な顧客獲得の武器として重要な役割を果たすと見られます。

Apple Revenues by Product Categories

 

今四半期のもう一つの注目点は、関税リスクを軽減するためのAppleによる供給体制の多様化です。カウンターポイントリサーチのシニアアナリスト、プラチル・シンは次のように語っています。
「今四半期、米国向けに出荷されたiPhoneの70%以上がインドで製造されました。Appleはインドにおける生産および輸出量を大幅に拡大しており、米国の需要をインドから、その他の地域の需要を中国から供給するという戦略が機能しています。また、インド国内でもiPhoneの需要が急速に伸びており、現地市場に即した対応が求められています。」

Appleの製造パートナーは、インドでの生産能力拡大と部品サプライヤーのエコシステム構築にも取り組んでいます。最近開始された「電子部品製造スキーム(ECMS)」に対し、Appleのサプライヤーが積極的に参加する可能性も高まっています。このスキームは、インド国内における部品製造体制を強化するためのインセンティブ施策です。

また、米国とインド間の貿易協定に関連した最近の動きにより、米国はインド製品に対して25%の関税を課しました。これについてシンは、次のようにも述べています。
「米国が課した関税は依然として不安定であり、スマートフォンなどの重要製品については最終的に免除される可能性が高いと見ています。これは実質的には交渉上の戦術であり、戦略的なタイミングで圧力をかけることにより、まったく異なる品目をめぐる全体的な貿易交渉において優位に立つための措置と考えられます。インドの電子機器製造業にとってはプレッシャーとなるかもしれませんが、生産連動型インセンティブ(PLI)などの政策は、特に制度の最終年度を迎えた現在、中国やベトナムといった競合国に対してコスト面で競争力を維持するうえで不可欠となっています。現時点では、最終的な決定はまだ下されておらず、様子見の段階です。」

 

【カウンターポイントリサーチについて】
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