2024.11.02| PR|

 

Appleの2924年第3四半期(同社の決算では2024年度第4四半期)の売上は前年同期比で6%伸びて950億米ドル(約14.7兆円)に達しました。これは第3四半期として過去最高です。Appleにとっては、これで2四半期連続での売り上げ成長となります。ハードウェアとサービスはともに売り上げを伸ばしており、それぞれ前年同期比で4%と12%の成長です。ハードウェアの売上がここまで伸びるのはほぼ2年ぶりです。さらに、サービスの売上は過去最高を更新し続けており、金額はほぼ250億米ドル(約3.9兆円)に達します。いまやサービス事業の売上はAppleの売り上げ全体の1/4をゆうに超えています。

 

この業績について、Counterpointのシニアアナリスト、Varun Mishra氏は、次のようにコメントしています。

「この四半期のAppleは予想を大きく超えた。iPhone 16シリーズは主要市場で出足が鈍かったにも関わらず、AppleはiPhoneの出荷台数、売上、ASP(平均売価)のいずれにおいても、第3四半期の最高記録を達成した。いまでは新興市場が出荷の伸びを支えているし、ポートフォリオの中でProシリーズの比率が増えていることがASPを押し上げている。いわゆる高級機指向のトレンドは、今もAppleの味方だ。Macも4四半期連続で成長しているし、iPadも成長している。いずれもポートフォリオを改善した効果が出ている。その一方で、ウェアラブル、家庭用機器、アクセサリー類は減少傾向が続いている。これは、ウォッチやTWS(完全ワイヤレスステレオのイヤフォン)の競争が激しいことに加え、Vision Proが低迷の一途をたどっていることが原因だ。」

 

また、サービス事業について、Counterpoint Researchのディレクター、Tarun Pathak氏は、次のように指摘しています。

「サービス事業は着実に結果を出しており、この四半期も売上記録を更新した。Apple Intelligenceの提供が始まり、まだ売上成長のドライバーにはなっていないものの、2024年から2025年にかけてサービス地域が広がる予定だ。Appleは世界中に全面展開する前に、注意深く消費者の好みを見極めつつ、パートナーがβ版を使った開発を行う時間を稼ぐ作戦を取っているようだ。Apple Intelligenceが徐々に市場に出ていく一方、Apple PayとiCloudの好業績は続いている。さらに、最近ではAppleはApple TV+の強化を、コンテンツとパートナーを通じた提供との両面で、推進している。当分はサービス事業の成長基調は変わらないだろう。」

 

 

セグメント別の分析:

  • iPhoneの売上は前年同月比6%伸びました。弊社の暫定推定値ではASPも前年同期比2%伸び、900米ドル(約14万円)のラインをこの第3四半期に初めて超えたとみられます。これはProシリーズの割合が増えたためです。米国やカナダなど一部の主要市場では出荷が前年同期比で落ち込んだものの、西欧、中南米、インド、東南アジア、中東・アフリカは成長しました。
  • iPadの売上は前年同期比8%伸び、これで2四半期連続成長となっています。昨年はiPadの新モデルが発売されなかったことも、対前年での伸びにつながっています。
    • 新型のiPad Airは第3四半期も好調を維持し、幅広いユーザーに受け入れられています。ベースモデルのiPadはこの四半期に数回実施された大型の販促キャンペーンに助けられました。
    • Pro OLEDモデルは発売当初の人気沸騰が去って需要は減り続けています。
    • iPadのベースモデルとiPad Miniの新モデルの発売は、それぞれ12月と2025年上半期にずれ込みました。それがなければiPadの売上はさらに伸びていたはずです。
  • Macの売上も成長しました(前年同期比2%増)。MacBook Airの好調が続いています。今後、M4、M4 Pro、M4 Maxのプロセッサーチップを搭載した新機種が広い価格帯で投入されれば、売上はさらに伸びると思われます。Apple Intelligenceは、文書作成、メールの要約、その他の画像や音声メディアの用途が考えられるApple Macにおいて、中期的に消費者によりアピールするものになるでしょう。
  • ウェアラブル、家庭用機器、アクセサリー(WHA)の売上は、Apple WatchとAirPodsの商品ポートフォリオを刷新したにも関わらず、前年同期比3%の減少になりました。WHAセグメントでは、これで5四半期連続で前年同期比割れが続いています。Apple Watchの業績は期待に届きませんでした。Vision Proも発売した四半期こそ一気に売れたものの、その後は減少が続いています。高価格なうえにアプリケーションが限られるため、ニッチな商品の域を出ていません。それでも、Appleはウェアラブルの製品カテゴリーに新しいヘルスケア機能を入れるなどテコ入れを続けており、これはよい兆候といえます。
  • サービスは、Appleに次々に新記録をもたらしています。増え続けるユーザーベースが、サービスの成長の基盤になっています。ユーザー数は、すべての製品において、そしてすべての地域において、増加しています。長期的には、新興国市場での成長を超えて、サービスの売上が伸びそうです。Appleは、やがてApple Intelligenceからも収益を得るようになるでしょう。

 

 

【カウンターポイント社概要】

カウンターポイント社(英文名Counterpoint Research HK)はTMT(テクノロジー・メディア・通信)業界に特化した国際的な調査会社である。主要なテクノロジー企業や金融系の会社に、月報、個別プロジェクト、およびモバイルとハイテク市場についての詳細な分析を提供している。主なアナリストは業界のエキスパートで、平均13年以上の経験をハイテク業界で積んでいる。

公式ウェブサイト: https://www.counterpointresearch.com/