- 予約した商品の納品までの待ち時間が、iPhone 15ベース機種とPro Maxでは、前身機種と比べ大幅に延びた。
- 需要の高さと、発売初期の流通量の制約とが、Pro Maxの予約時における納期が過去にないほど延びた原因であろう。
- iPhone 15ベース機種の納期も延びている。中国ではiPhone 14のときの4倍である。
Counterpoint Researchが提供するApple 360 Serviceによれば、予約したiPhone 15と15 Pro Maxの納期が、世界中の主要市場でiPhone 14のときと比べ、著しく延びている。米国が良い例である。ベース機種と最上位機種の購入者は、それぞれ4日および9日、昨年と比べて長く待たなくてはならない。一方でPlusとProの購入者は従来よりも最大2週間早く端末を手にすることができそうだ。
出典:Counterpoint Research Apple 360 Service
*iPhone 15: 9月15日~21日、iPhone 14: 9月9日~15日、週末は除く
「Pro Maxの納期が前身機より長いのは驚くにあたらない。」と製造担当のシニアアナリストIvan Lam氏は語る。「カメラモジュールのような複雑な機構の大幅アップグレードを行ったら、最初のうち製造がスムーズでないのはごく普通のことだ。だが、店頭での販売が始まった今週の納期を見ていると、品薄の解消と正常化の方向に向かっているようだ。」
iPhone 15について、北米担当のリサーチディレクターJeff Fieldhack氏は以下のように述べた。「もともとはProラインナップ専用であった、ダイナミックアイランド(訳注:従来前面カメラ用の穴があった部分を別の表示領域として使用する)などのプレミアム機能がベース機種でも提供され、消費者にとって魅力が増した。新しいベース機種の値段で手に入るのは実質的にiPhone 14 Pro相当の機能で、それにデザインの洗練も加わったので、今年の買い替えへのインセンティブになっている。」
22日金曜の一般発売までの間、ベース機種の納期は中国で予想以上に延びた。スマホ市場全体が低迷する中、比較的堅調な高級機セグメントでシェアを伸ばそうと、国内の競合メーカーが奮闘しているにも関わらず、である。中でも注目すべきは、フリップ型の折り畳みスマホの人気と、Huaweiからの待望のMate 60 Proの登場であろう。これらがiPhoneの直接の競合になると見る向きもある。
「驚いたのはiPhone 15のベース機種の中国での納期だ。昨年の発売日と比べて4倍の長さになっている。今年上半期は14シリーズの値引きキャンペーンも多かったので、納期は昨年同レベルだろうと予想していた。」と、中国担当のリサーチアナリストArchie Zhang氏は振り返る。「だが、これは年末の繁忙を極める四半期に向けて、Appleがサプライを積み増している兆候に過ぎないのかもしれない。」
Zhang氏はさらに以下のように続けた。
「最高級機セグメントに関する限り、Pro Maxが中国で最も人気が高い機種であり、長い納期がそれを示している。一方で、発売当初の状況は昨年にも似たところがあり、転売目的の購入が収まったあとは、衝動買いに走るひとはさほどおらず、昨年同様な需給状況に落ち着く可能性もある。」
【カウンターポイント社概要】
カウンターポイント社(英文名Counterpoint Research HK)はTMT(テクノロジー・メディア・通信)業界に特化した国際的な調査会社である。主要なテクノロジー企業や金融系の会社に、月報、個別プロジェクト、およびモバイルとハイテク市場についての詳細な分析を提供している。主なアナリストは業界のエキスパートで、平均13年以上の経験をハイテク業界で積んでいる。
公式ウェブサイト: https://www.counterpointresearch.com/