-前倒し需要の反動と在庫調整でマイナス成長、Huaweiがトップ維持-
【北京、ベルリン、ブエノスアイレス、フォートコリンズ、香港、ロンドン、ニューデリー、ソウル、台北、東京 – 2025年7月22日】
主なポイント
・中国のスマートフォン出荷台数は、以前の補助金による前倒し需要の影響を受け、2025年第2四半期に減少しました。
・Huaweiは、ミドルレンジからハイエンドの新モデルの好調な販売に支えられ、出荷台数が前年同期比17.6%増となり、市場をリードしました。
・第2四半期の主なハイライトとしては、AppleのiPhone 16シリーズの値下げと、新発売のミドルレンジ製品間の競争激化が挙げられます。
・国の補助金がスマートフォン需要に与える影響が縮小していることから、今後数ヶ月で一部のブランドは在庫調整を優先する可能性があります。
市場動向
カウンターポイントリサーチの2025年第2四半期市場モニタートラッカーの速報値によりますと、中国のスマートフォン出荷台数は2025年第2四半期に前年同期比2.4%減少しました。この期間は、例年の季節性によりスマートフォン需要が低迷しました。加えて、多くのOEMが国の補助金制度の恩恵を最大限に活用するため、例年より早いタイミングで新製品をリリースしたことで、当該四半期では新製品発売数が減少しました。さらに、一部のOEMは在庫積み増しから在庫調整の段階へ移行しており、これも出荷台数の減少に影響を与えました。
一部の地方自治体では、補助金の対象範囲を縮小したり、補助金クレジットの支給を延期したりする動きが見られていますが、国家補助金プログラム自体は2025年を通じて継続される見込みです。
2025年第2四半期において、Huaweiは出荷シェアが前年同期の15%から18.1%に上昇し、2四半期連続で市場トップの座を維持しました。この成長は主に、中価格帯「Nova 14」シリーズの好調な販売と、ハイエンドモデルにおける大幅な値下げが寄与しました。
vivoは同四半期で2位のシェアを獲得しました。中価格帯モデルの好調な販売と、強力なオフラインネットワークの存在が、地方都市を中心とした「Yシリーズ」の売上を引き続き支えています。また、最新の「S30」シリーズは新学期キャンペーンの影響を受け、夏季に堅調な需要を記録しました。鮮やかなデザインとポートレート撮影機能が若年層消費者の間で人気を集めています。
OPPOは、6月18日のショッピングフェスティバル前にタイムリーに「Reno 14」を発売し、前世代モデル「Reno 13」の販売勢いをさらに加速させました。「Reno 14」は若年層女性向けのファッショナブルなデザインが特徴でした。サブブランドであるOnePlusは、特にハイテク志向の男性や若年層ターゲットとして急成長しており、ゲームが重要なユースケースとなっています。OnePlusはゲーム体験の向上を目的として、チップレベルで統合されたゲームエンジンを開発しました。このゲームエンジンはチップのアーキテクチャと深く結びついており、パフォーマンス向上に貢献しています。この技術は、まずOPPOのベストセラー「Ace 5」シリーズに導入され、今後は他の製品ラインにも拡大される予定です。
Xiaomiは2025年第2四半期に15.7%の市場シェアを獲得し、Huaweiに次ぐ成長率を記録したブランドとなりました。ミドルレンジの新製品投入はありませんでしたが、「Redmi K80」や「Mi 15」などの人気モデルの値下げが成長を支えました。また、Xiaomiは自社開発のアプリケーションプロセッサ「Xring O1」を「Xiaomi 15S Pro」に初搭載しました。
Appleは「iPhone 16」シリーズ、特に中国市場で人気の「Pro」モデルで過去最大規模の値下げを実施し、「618」セール期間中に大きな成果を上げました。この値下げはiOSユーザーの早期買い替えを促しましたが、下半期に予定されている「iPhone 17」ベースモデルの売上を圧迫する可能性もあります。
HONORは、激しい競争環境の中でも製品ラインナップの強化を通じて存在感を高めています。特に5月下旬に発売された「HONOR 400」シリーズは、2億画素の高性能カメラ、7200mAhの大容量バッテリー、競争力ある価格設定により、市場で好調な滑り出しを見せました。
市場見通し
2025年第2四半期の中国スマートフォン市場は、カウンターポイントリサーチの予測通り軟調に推移しました。プロモーションや補助金政策は新たな需要を生み出すには至りませんでしたが、売上の下支えにはつながりました。2025年通年では前年を上回る成長が予想されるものの、成長率は減速する見込みです。
今後の市場については、夏季の大型プロモーションや、2025年第3四半期に予定されている新たなフラッグシップモデルの早期投入が売上の押し上げ要因となり、年末商戦での堅調な成長の基盤を形成すると見込まれます。カウンターポイントリサーチでは、特に関税の追加、部品価格の高騰、消費者需要の変動といったマクロ経済的・政策的リスク要因を引き続き注視してまいります。
カウンターポイントリサーチについて
カウンターポイントリサーチは、テクノロジーエコシステム全体を対象としたグローバル市場調査会社です。当社は、世界各国の主要なイノベーション拠点、製造クラスター、商業都市に拠点を構え、スマートフォンOEM、チップメーカー、チャネル企業、大手テクノロジー企業をはじめとする多様なクライアントにサービスを提供しています。
経験豊富なアナリストチームが、企業の経営層や戦略部門、アナリストリレーション、市場情報、ビジネスインテリジェンス、製品・マーケティング部門と連携し、信頼性の高い市場データ、インサイト、コンサルティングを提供しています。
当社の注力分野には、AI、自動車、コンシューマーエレクトロニクス、ディスプレイ、eSIM、IoT、位置情報プラットフォーム、マクロ経済、製造、ネットワークインフラ、半導体、スマートフォン、ウェアラブルなどが含まれます。
公開中のインサイトや最新レポートは、当社ウェブサイトの「Insights」ページをご覧ください。また、専門アナリストへのお問い合わせも随時受け付けております。