2025.01.10| PR|

 

車両がソフトウェア・デファインド(SDV; PCやスマホのようにソフトウェアのアップデートによって性能や機能が更新できるようなクルマ)になる時代が到来し、ナビゲーションの重要性も増しています。先進運転支援システム(ADAS)の機能が進化し、自動速度制御装置(Intelligent Speed Assistance, ISA; 車両が制限速度を自動認識し、ドライバーに通知したり、自動で速度を制御したりする装置)、新車アセスメントプログラム(New Car Assessment Programme, NCAP; アメリカで始まり各国で実施される安全性評価。衝突時の保護性能に加え、対歩行者や対車両の自動ブレーキも評価対象)などの法規制も強化されているからです。この結果、ナビゲーションソフトや電子地図のメーカーは、優れたソフト・UI・地図データを搭載した最先端ナビの開発へと向かっています。ナビゲーションソフトは一連のナビ関連タスクの機能を実現する上で基盤となるのです。

 

現在のところ、ナビゲーションソフト市場は細分化されており、10社を超える企業が、中国国外の完成車メーカーを相手にビジネスを行っています。こうしたナビゲーションソフト企業のほとんどは北米か欧州に拠点を置いています。欧州ではTomTomが2024年上半期のナビゲーションソフト市場を15%のシェアをもってリードし、これにJoynext、Elektrobitが続くとする調査結果を含むEurope In-vehicle Navigation Trackerをカウンターポイント・リサーチ・エイチ・ケー(英文名:Counterpoint Research HK、以下カウンターポイント社)が発表いたしました。

 

TomTomの業績について、リサーチアナリストのMohit Sharma氏は次のようにコメントしています。

「TomTomの成功はナビゲーションソフトのモジュラー構造による。これによって、自動車メーカーは車種ごとのUIへの合わせこみや、消費者の好みの反映を、簡単に行えるようになった。Volkswagenグループも、最近TomTomのナビゲーションシステムの組み込みを開始した。これが2025年以降の欧州におけるTomTomグループの飛躍につながるだろう。」

出典:Europe In-vehicle Navigation Tracker, H1 2024

 

Sharma氏はさらに以下のように付け加えました。「ナビゲーションソフトは細分化された市場だ。ティア1の部品メーカーでインフォテイメント関連を主に扱っているメーカーは、たいていナビゲーションソフトも一緒に売っている。たとえばJoynext、Bosch、Aisin、Harmanがそうだ。」

 

純正ナビ搭載のクルマを選ぶ消費者が増すにつれ、自動車メーカーは新車の標準機能として装備するようになってきています。電気自動車(EV)やADASの普及も、ナビの普及を加速させています。欧州ではカーナビの販売は2024年第2四半期に前四半期比4%伸びました。EV普及率の高いノルウェイ、スウェーデンなどがこの成長を支えています。

 

最近では、マップ更新、UI、EVサービス(充電の場所やタイミングのアドバイスなど)の面で、カーナビは大きく進化しています。主要自動車メーカーはQualcomm、NVIDIA、AMDなどの高性能チップの採用を始めています。その結果、OTA(over the air; セルラー通信などを通じてネット経由でソフトやデータを更新すること)での地図更新、3D CGによるリアルなナビゲーション、AIを活用したEVサービスなどが実現し、総合的にユーザーエクスペリエンスを高めています。

 

カーナビ市場の動向を考える上で、もう一つ重要なことが、中国メーカーの欧州におけるプレゼンスの拡大です。西側諸国のカーナビシステムメーカーにとっては、こうした中国メーカーとの協業が大きな事業機会になるでしょう。

 

カウンターポイントのバイスプレジデントPeter Richardson氏は次のように述べています。

「MapboxやGoogleのような新規参入組も注目を集めている。実際、Renault、Volvo、PolestarなどがGoogle Automitive Services (GAS)を採用した新車を発表している。地図メーカー、自動車ティア1、それにナビ専業メーカーが入り乱れ、ナビゲーションソフト市場は競争が激しい。一方で、中国の地図プロバイダーであるBaidu、Amap、Tencentなどは中国国外での地図情報のカバーで劣る。これがTomTomやHEREが中国自動車メーカーと競合をするのには追い風だ。特にこうした中国自動車メーカーにとってはGoogleとの協業が選択肢になりにくいから、なおさらだ。」

 

今後はAIと生成AI(GenAI)がナビゲーションや位置情報サービスに変革を起こすでしょう。ユーザーが各種のリアルタイム情報に、より直感的に、自然に、アクセスできるようになるからです。それぞれの人に合わせたルート選択の提案や、その場所に関する情報の提供も可能になります。実際に、2024年にはStellantisとVolkswagenがGenAIによる音声アシスタント機能の搭載を始めました。

 

包括的で詳細なEurope In-vehicle Navagation Tracker, H1 2024は弊社のリサーチポータルからお求めいただけます。

また、最新の調査や分析に関するお問い合わせは、お気軽にpress@counterpintresearch.comまでおよせください。

 

 

【カウンターポイント社概要】

カウンターポイント社(英文名Counterpoint Research HK)はTMT(テクノロジー・メディア・通信)業界に特化した国際的な調査会社である。主要なテクノロジー企業や金融系の会社に、月報、個別プロジェクト、およびモバイルとハイテク市場についての詳細な分析を提供している。主なアナリスト陣はハイテク業界で長年の経験を積んだエキスパートである。

公式ウェブサイト: https://www.counterpointresearch.com/