• 世界のスマホ出荷は2024年に3%増の12億台になると予想される。
  • 値ごろな低価格セグメント(150~249米ドル、約3~3.8万円)は、厳しい2023年の状況から回復するとみられる。カリブ・中南米(CALA)、インド、中東・アフリカ(MEA)が成長を牽引する。
  • 高級機セグメント(600~799米ドル、約9~12万円)は、AppleとHuaweiの好調をうけて、前年比17%成長の見通しである。
  • 市場全体として、底をうったとみられるので、一けた台の小さな数字ながら、前年比成長が長く続くだろう。

 

Counterpointが提供するGlobal Smartphone Shipment Forecastによれば、世界のスマホ出荷は2024年に前年比3%の緩やかな回復をみせ、12億台となる見通しである。値ごろな低価格セグメント(150~249米ドル、約2.3~3.8万円)の2023年は、特に新興国市場でマクロ経済の逆風の影響が大きく、前年比割れであった。それが今年は、高級機セグメント(600~799米ドル、約9~12万円)とともに、回復のけん引役である。

2023年とは状況が異なり、2024年はインド中東・アフリカなどの新興国市場で低価格機種が伸びることで、世界のスマホ市場の成長を牽引するとみられる。2023年第4四半期の在庫レベルが適正水準であることも、好材料である。

 

値ごろな低価格セグメント(150~249米ドル、約2.3~3.8万円)は、2023年に大きく減少したものの、2024年は前年比11%増の回復が予想される。主にインド、MEA、CALA(カリブと中南米)市場がけん引役である。また、アフリカではインフレ懸念がかなり後退し、多くの国で自国通貨のレートも安定したため、消費者の購買力が復活し、これも、この150~249米ドルのセグメントの伸びに貢献している。

 

中国メーカーのOPPO、vivo、Xiaomi、Transsion GroupなどはMEAやCALA市場への投資を継続しており、これによる競争激化が、結果として低価格帯のスマホの需要を刺激している。IT機器への需要が回復したことに加え、こうした中国メーカー間の競争が、このセグメントの成長のもうひとつの原動力といえる。

 

高級機セグメント(600~799米ドル、約9~12万円)は、2024年も堅実に成長し、前年比17%増になるとみられる。主にフラグシップ機種の旧モデルと折り畳み型とが、前年比で大きく伸びそうである。生成AI(GenAI)搭載スマホ折り畳み型は、超高級機セグメントの需要を支え、特に年の後半で貢献が大きそうだ。メーカー別でみると、Appleが高級機、超高級機のセグメントの成長をリードし、そのiPhoneの成長は、主にインドやMEAなどの新興国市場が支えることになりそうだ。Samsungは各地域で少しずつ伸びるだろう。中国においては、Huaweiが引き続き高級機セグメントの成長の鍵を握っている。

 

長期的には、世界のスマホ出荷は、市場の底入れをうけて、一桁台の小さな数字ながらも前年比で伸びていくだろう。

 

 

Team Counterpoint

Counterpoint Researchは若く急成長中の調査会社で、ハイテク業界の分析を得意としている。カバーする領域は、コネクテッド機器、消費者向けデジタル製品、ソフトウェアとアプリケーション、および関連分野のトピックスである。当社の調査チームがまとめて発行するレポートに加え、要望に合わせてカスタマイズしたレポートも提供している。また、セミナーやワークショップを企業向けに開催して好評を得ており、依頼があれば実施している。特に高精度の調査を必要とするプロジェクト向けには、コンサルティングやカスタマイズした調査活動も実施する。