• 5G機種の出荷のほぼ70%は、先進国市場向けである。
  • AppleとSamsungが5Gスマホの2強であり、合わせて10億台を超える5Gスマホを出荷した。
  • 初めて5Gに対応したiPhoneである、iPhone 12シリーズの発売以降、5Gの採用が急加速した。

Counterpoint Researchが提供するGlobal Market Monitor Serviceによれば、世界の5G対応スマホの出荷は、2023年第4四半期に20億台を突破した。20億台の大台に乗るのに5年かかっておらず、4Gや3Gなど従来の通信方式のときと比べて最短である。4Gスマホのときはこの数字に達するのに6年を要した。5G機種の出荷は、そのほぼ70%が、中国、米国、西欧などの先進国市場向けである。AppleとSamsungが5Gスマホの2強であり、合わせて10億台をこえる5Gスマホを出荷した。

 

スマホメーカー各社は、競争の激しい市場における差別化ポイントとして、5Gの性能や機能を大々的にプロモーションしてきた。初めて5Gに対応したiPhoneであるiPhone 12シリーズの発売以降、5Gの採用が著しく加速し、2020年第4四半期には、単一四半期としては初めて5Gスマホの出荷が1億台をこえた。この勢いは今も続いており、2023年第4四半期には単一四半期で2億台を超えるという新たな記録を作った。

5Gスマホの価格や入手しやすさも改善した。背景には、5Gと4Gのチップセットの価格差が縮まってきたことと、メーカー各社が戦略的に部品を選択しBOM(bill of materials, 部品表)コストを抑えたことがある。加えて、MediaTekやQualcommなどのチップセットメーカーはエントリーレベルの5Gチップセットを発売し、スマホメーカーが安い5Gスマホを市場に出すのを楽にした。こうしたことによって、特に中国のメーカーにとって、中位~高級セグメントにおいて5Gスマホのポートフォリオを広げることができた。まだ5Gが完全に運用されていない地域でさえ、消費者は将来への投資として5Gスマホを好んだ。

 

先進国市場はほぼ飽和状態にあり、高級機セグメントが主導するかたちで5Gスマホの出荷全体に占める割合は、2023年には80%を超えた。このため、主要なスマホメーカーは5Gを標準機能として中位価格帯の機種に搭載するとともに、低価格帯機種への搭載も始めている。さらに、キャリア各社が5Gカバー率を広げつつある発展途上国でも、消費者の5Gへの関心は高まっている。いまや、5Gスマホは新興国市場の低価格帯に普及を広げるのに必要な材料をそろえた状態である。だから、次の10億台の出荷に向けて、インドや東南アジアなどの新興国市場が市場をひっぱるかたちで、5Gの勢いが続くであろう。

 

 

Team Counterpoint

Counterpoint Researchは若く急成長中の調査会社で、ハイテク業界の分析を得意としている。カバーする領域は、コネクテッド機器、消費者向けデジタル製品、ソフトウェアとアプリケーション、および関連分野のトピックスである。当社の調査チームがまとめて発行するレポートに加え、要望に合わせてカスタマイズしたレポートも提供している。また、セミナーやワークショップを企業向けに開催して好評を得ており、依頼があれば実施している。特に高精度の調査を必要とするプロジェクト向けには、コンサルティングやカスタマイズした調査活動も実施する。