カウンターポイントリサーチ (英文名: Counterpoint Research 以下、カウンターポイントリサーチ)は、ウェアラブル端末市場は2025年から2032年にかけて累計1兆ドル規模の収益機会があり、そのうちエッジAIのみで75%を占める見通しであるという市場予測を含むGlobal Edge AI-Enabled Wearablesによる最新調査を発表致しました。
エッジAIはウェアラブル端末に急速に浸透しており、これらの端末を、単に接続された受動的なデバイスから、ユーザーデータをリアルタイムで継続的にセンシング、解釈、行動に移せるインテリジェントなシステムへと進化させています。カウンターポイントリサーチの最新市場予測Global Edge AI-Enabled Wearablesによると、ウェアラブル端末市場は2025年から2032年にかけて累計1兆ドル規模の収益機会があり、そのうちエッジAIのみで75%を占める見通しです。これは、リアルタイム性、電力効率、プライバシー保護を備えたインテリジェンスが、デバイス側へ移行する構造的な変化を示しています。スマートウォッチとTWSのセグメントが、継続的な健康モニタリングや常時接続型インタラクションへの需要拡大を背景に、成長の大部分をけん引するとみられます。
AI対応ウェアラブルは、CPU、NPU、マイクロコントローラーなどの組み込みコンピューティングアーキテクチャ上で、推論処理をローカルに実行するようになっています。モデルは通常クラウドで学習され、デバイスに展開されます。この分散型のエッジ・クラウドモデルにより、継続的な健康モニタリング、ジェスチャー認識、状況認識といった、低遅延が求められる機能はオンデバイス処理へと移行しています。このアプローチは、遅延や帯域幅の要件を低減すると共に、機密性の高い生体情報のクラウド送信を制限することで、データプライバシーの向上にも繋がります。
市場動向に関して、カウンターポイントリサーチ プリンシパルアナリストTina Luは次の通り述べています。
「オンデバイスAIは既に10年以上に渡りコンシューマー向けウェアラブル端末に搭載されてきた機能です。いま変化しているのは、まったく新しいユーザー層に届くフォームファクターが広がっていること、そしてエッジAIによって、これらのカテゴリーが最初に考案された時点では想定していなかったようなユースケースが実現しつつあることです。出荷ベースで見ると、ウェアラブルにおけるエッジAIの普及率は、2025年の30%から2032年には約80%まで上昇すると予測されています。」
Lu氏はさらに次の通り述べています。
「2025年には、エッジAI対応ウェアラブルの出荷が前年同期比で60%以上増加しました。これは、これらの製品が既に本格普及段階に入っていることを示しています。その背景には、部品統合の高度化によるフォームファクターの小型化、ワット当たり性能の向上、そしてリアルタイムかつプライバシーを保護したインテリジェンスに対する消費者需要の高まりといったものがあります。」
図: カテゴリー別グローバルエッジAI対応ウェアラブル売上高(単位10億ドル)

出典:カウンターポイントリサーチ Global Edge AI-Enabled Wearables Forecast
エッジAIの採用状況は、ウェアラブルのカテゴリーによって異なる。
- スマートウォッチとTWSは、2032年まで台数ベースで最大のカテゴリーを維持する見通しです。TWSでは、リアルタイム言語翻訳、話者識別、個人に合わせた聴覚適応といったオンデバイスAI機能が、従来のオーディオ体験を超える価値を求める消費者の買い替えサイクルを加速させています。スマートウォッチでは、エッジAIによって、ECG、血中酸素、より高度な睡眠ステージ分析、転倒検知など、規制に対応し、臨床的にも関連性の高い新世代の健康モニタリング機能が可能になっています。これらの機能はユーザー価値を高めるだけでなく、スマートウォッチを予防医療デバイスとして位置づけるうえでも重要な役割を果たしています。
- スマートリングは、最も高い成長が見込まれるカテゴリーです。スマートリングは、アクセサリーのように身に着けるTinyML搭載のバイオセンサーとして、継続的な健康モニタリングを再定義しています。指先から、心拍変動、睡眠ステージ、ストレス指標を24時間追跡できるためです。指は最も信頼性の高い測定ポイントの一つであり、ディスプレイや頻繁な充電、ユーザーによる能動的な操作を必要としません。
エコシステムの進化に関して、カウンターポイントリサーチ プリンシパルアナリストのAnshika Jainは次の通り述べています。
「コンシューマー向けウェアラブル全体の売上高は、2032年まで年平均成長率10%で安定的に成長すると予測されています。一方、エッジAI対応ウェアラブルはCAGR 21%と、はるかに速いペースで拡大する見通しです。エッジAIの採用がウェアラブル市場全体を上回るペースで進んでいる理由は、消費者の関心の高まりだけではありません。複数の技術的なしきい値を静かに、かつ同時に超えたテクノロジースタックの存在があります。」
Jain氏はさらに次の通り述べています。
「この移行は、複数の追い風によって加速します。NPUの急速な小型化と性能効率の大幅な向上により、TWSやスマートウォッチのような超小型デバイスでも、高度なAIワークロードを実行できるようになっています。同時に、より広範なAIモデルのエコシステムも急速に成熟しており、モデルを小型化し、より軽量で効率的にし、デバイス上で直接展開できるようにする方向へ進んでいます。こうしたコンパクトで効率的なAIへの継続的な取り組みにより、あらゆるハードウェア階層にインテリジェンスが広がり、低コストのマイクロコントローラー上でも複雑な推論を実行できるようになっています。その結果、あらゆる価格帯でエッジAIの採用が拡大しています。」
本プレスリリースに関する詳細並びに情報は、こちらからご覧いただけます。
https://counterpointresearch.com/en/reports/global-edge-ai-enabled-wearables-forecast
*本プレスリリースは2026年5月13日に発表されたプレスリリースの日本語版です。原文はこちらをご参照ください。
https://counterpointresearch.com/en/insights/8-in-10-wearables-to-feature-on-device-ai-2032
今回の発表は、チャネル情報、POSデータ、ディストリビューターアンケート調査、公開データなどボトムアップデータソースとトップダウンリサーチの組み合わせによるカウンターポイント社独自の調査方法で実施したものです。
【カウンターポイントリサーチ概要】
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公式ウェブサイト: https://japan.counterpointresearch.com/