- 中南米(LATAM)におけるスマホの出荷台数は2023年第3四半期に前年同期比11%増加し、4四半期にわたって続いた減少から抜け出した。
- Samsungはこの地域における絶対王者の地位を、1%のシェアを持って維持した。
- HONORは前年同期比123%と、この地域においてもっとも大きな伸びを示したメーカーであった。
Counterpoint Researchが提供するQ3 2023 Market Monitor Serviceによれば、中南米(LATAM)におけるスマホの出荷台数は2023年第3四半期に前年同期比10.9%増加し、4四半期連続した減少から抜け出した。ようやくこの地域のスマホ出荷は成長に転じ、前四半期比では8.7%の伸びであった。
市場動向についてプリンシパルアナリストのTina Lu氏は以下のようにコメントした。
「主要各社は軒並み2023年第3四半期に出荷を伸ばした。この地域の歳末シーズンはほとんどの国で11月だが、メーカー各社がそれに先がけて、いつもより早くから出荷を行ったことが大きい。さらに、一部のメーカーはエントリーレベルの価格帯の商品の流通量を増やした。利益率よりも台数を優先したかたちである。ブラジル、メキシコ、および中米のいくつかの国が、この地域の成長を牽引している。ブラジルの国内製造は依然として減少傾向にあるが、グレーマーケット(訳注:日本における並行輸入品に似た、正規でははい流通経路。通常、正規ルートより安価。)がギャップを埋め、むしろ市場を拡大させている。」
さらに、リサーチアナリストのAndres Silva氏は以下のように付け加えた。
「出荷台数は伸びたものの、卸の段階でみたスマホの売上額はまだ戻っていない。この地域のほとんどの国で、消費者の需要はいまだ低いままである。もともと第3四半期は、販売キャンペーンが少なく、加えて、ブラジルで8月にある父の日を除けば大きなイベントもないから、以前から低調な四半期ではある。中南米の2023年の経済成長は予想をわずかに上回っているが、消費者のスマホ買い替えサイクルの加速にはつながっていない。」
2023年第3四半期の市況
- Samsungは、引き続きこの地域での絶対王者である。この四半期に、Z Flip 5とZ Folder 5の宣伝を大々的に実施した。それでも売上とシェアはともに前年割れをしている。ローエンドセグメントの商品を絞り、高価格機種を前面に出した結果、この地域でのシェアが落ちたのである。しかし、四半期の終わりにかけてSamsungのエントリーレベル機種の出荷は増えてきており、うまくいけば、年末の祝祭シーズンに同社のシェアは増加するかもしれない。
- Motorolaのシェアは前年を割ったものの、出荷台数は伸びた。一年前に低価格機種があまり供給できなかったことで、昨年の台数が少なかったからである。今年はEシリーズが十分に供給できており出荷台数の伸びに貢献している。
- Xiaomiは、出荷台数、シェアともに前年より伸びた。ほとんどの国でXiaomiの出荷状況は改善している。メキシコでは、Telcel(訳注:メキシコのモバイルキャリア)との関係改善が伸びにつながった。また、ブラジルやこの地域の小国では、グレーマーケットが未だに同社の成長に大きな役割を果たしている。
- Appleは、iPhone 11と販売プロモーションが増えたことで、台数、シェアともに伸びた。同社は、iPhone 15の発売に先立ってプロモーションを実施した。もっとも、新機種は2023年第3四半期の業績には影響がない。世界同時発売の当日(9月22日)にiPhone 15を発売できたのはメキシコだけだったからである。ブラジルとコロンビアには9月29日に入荷し、その他の国に入荷したのは10月に入ってからだった。
- HONORは販売台数を倍以上に伸ばし、この地域でもっとも速く成長したメーカーとなった。HONORはほとんどの流通チャンネルにスマホを流すことでシェアを伸ばした。また大手メーカーが相手にしてこなかった小さな市場にも参入した。それでも同社のブランド確立は道半ばである。HONORはこの四半期中にも販売を伸ばしている。同社にとっての主要市場はメキシコ、コロンビア、中米、ペルーである。
- OPPOも急成長している。とはいえ売上の多くは未だにメキシコに頼っており、そのためこの地域でのトップセラーランキングから名前が消えた。
- これ以外のメーカーは業績が前年割れしている。中国からの新規参入で地場のメーカーは絶滅の危機にさらされている。
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Team Counterpoint
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