カウンターポイントリサーチ (英文名: Counterpoint Research 以下、カウンターポイントリサーチ)は、CXMTの上海STAR市場への上場を契機に、グローバルDRAM市場の競争構造が新たな局面に入る可能性があるとの分析を発表致しました。


ファブ建設に着工してから10年を経て、CXMTは7月16日、上海STAR市場に上場する準備を進めています(688825.SH)。今回の上場では579億人民元(85.5億ドル)を調達する見込みです。公開価格は1株当たり8.66人民元で、CXMTの上場時評価額は約800億〜850億ドルとなり、現在それぞれ1兆ドル規模で推移しているSK hynixやMicronの10分の1未満の水準です。

カウンターポイントリサーチのリサーチディレクターMS Hwangは、次の通り述べています。
「CXMTのシェア拡大に伴い、再評価のストーリーが始まるのか。それとも、DRAMサイクルはすでにピークに達しており、それがティア1企業の時価総額に反映されるのか。現時点で差は依然として大きいですが、今回の資金流入によって、CXMTがどれだけ早くその差を縮められるかが大きな論点です。」

CXMTにとって最重要目標は、“ビッグスリー”の一角に入り、急成長するメモリー市場において、市場シェアとマインドシェアの両面で戦略的な市場リーダーになることです。カウンターポイントリサーチの最新調査Global Memory Market report CXMT From Challenger to a Strategic Playerによると、CXMTがその地位を確立するには、少なくともDRAM市場の約6分の1を押さえる必要があります。

Hwangは次の通り述べています。「2008年の台湾で起きたことを見ると、同国のDRAMメーカーはシェアが15%を下回り、次世代ファブへの投資資金を確保できなくなりました。その結果、シェアは約3%まで落ち込み、ニッチプレーヤーの地位に後退しました。CXMTが超えなければならないのは、このラインです。現在同社が進めている取り組みは、すべてこの水準にいち早く到達するための競争だと言えます。」

 

図1: DRAM市場の競争環境

出典: カウンターポイントリサーチMonthly Memory Industry Beats、2026年6月

 

CXMTはリーダーの地位を確立できるのか

今回の資本注入を受け、CXMTは2030年までに生産能力を2倍に、2035年までに3倍に拡大することを目指しています。より短期的には、上海と北京の新ファブ、そして合肥に建設される大規模な新クラスターを通じて、現在の月産32万枚から2027年までに月産42万枚へと拡大する計画です。規模拡大に伴い、製品ミックスはLPDDR5やDDR5など、より高付加価値な領域へシフトすることでしょう。これらは生産量の75%近くに達する見通しで、PC向けおよびサーバー向けグレードの製品はすでにグローバルOEMにも届き始めています。これはCXMTにとって、最初の重要なステップです。

カウンターポイントリサーチVP ResearchのNeil Shahは、次の通り述べています。
「CXMTが足元で市場シェアを伸ばしていることを踏まえると、今回のタイミングは極めて興味深いものです。Appleによるロビー活動、世界的な輸出向け需要、そして間近に迫るHBM市場への参入は、いずれも同社の成長シナリオを後押しする要素です。一方で、米国規制の強化による下振れリスクや、HBMを量産規模で実証できていない点は依然として残っており、同業他社と比較した妥当な評価水準を見極めることを難しくしています。」

より長期的な課題は、CXMTが先端リソグラフィ装置へのアクセスを制限されていることです。そのため同社は、Vertical Channel Transistors(VCT)やWafer-on-Wafer(WoW)ボンディングといった代替技術を追求せざるを得なくなっています。この点に関して、Shahは次の通り述べています。
「ここで皮肉なことは、CXMTを制限することが、むしろ同社を既存大手より先に進ませる可能性があるという点です。既存大手は、既存設備からの投資回収を守るため、こうしたイノベーションの導入を遅らせる可能性があります。CXMTは、輸出規制という制約を、差を縮めるための推進力に変えることで、同業他社を驚かせる可能性があります。」

 

図2: サプライヤー別の世界DRAMビット出荷シェア予測

出典:カウンターポイントリサーチ DRAM Memory Tracker & Forecast、2026年6月

 

まとめると、CXMTのIPO後、カウンターポイントリサーチは数ある要素の中でも、特に以下の4つの重要な観測軸に着目しています。

・HBMの進展:
12段積層HBM3を量産規模で安定生産できるかが焦点です。Huawei Ascendの拡大に加え、CambriconやBirenによる評価が進めば、2028年までに20億ドル規模の売上ポテンシャルが生まれる可能性があり、これはCXMTの企業価値評価を引き上げる上で重要な鍵となります。

・非中国OEMからの大口受注:
2025年半ばに始まったPCサプライチェーンへの参入を、実際の大口受注へつなげられるかが重要です。Appleについては、政治的な承認を確保できるかどうかを含め、依然として不確定要素が残ります。

・米中貿易摩擦の再燃:
米中貿易摩擦が再び激化し、CXMTが米商務省の監視対象として再び注目されることになれば、製造装置の調達や非中国顧客との関係に悪影響が及ぶ可能性があります。

・市場シェアの推移:
カウンターポイントリサーチの基本シナリオでは、CXMTのDRAMビット出荷シェアは2028年までに11%、売上高シェアは9%に達する予測です。2035年までにビット出荷シェア20%、売上高シェア15%の閾値を突破できるかが、今後注目すべき重要なマイルストーンとなります。

本プレスリリースに関する詳細並びに情報は、こちらからご覧いただけます。
https://japan.counterpointresearch.com/coverage/semiconductor-tracker-forecast-report/

*本プレスリリースは2026年7月16日に発表されたプレスリリースの日本語版です。原文はこちらをご参照ください。
https://counterpointresearch.com/en/insights/cxmt-stock-market-big-three-memory-club

今回の発表は、チャネル情報、POSデータ、ディストリビューターアンケート調査、公開データなどボトムアップデータソースとトップダウンリサーチの組み合わせによるカウンターポイント社独自の調査方法で実施したものです。

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