
MWC 2026期間中、カウンターポイントリサーチのアナリストがHuaweiの「5G-A Industry Evolution Roundtable」にてオープニング基調講演を実施いたしました。また、ラウンドテーブルでは、世界中の業界におけるリーダー、エコシステムパートナー、通信事業者が参加し、議論は単なるコネクティビティの話にとどまらず、真にインテリジェントな時代に必要となるネットワークアーキテクチャの進化にまで及びました。AI主導の時代に入る中で、動画(コンテンツ制作)に加えて、増加するAIトークン処理がネットワークトラフィックの構造を変えつつあり、高度な上り帯域幅と、強靭かつ効率的なインフラに対する需要はますます高まっています。

カウンターポイントリサーチの基調講演「5G Advancedから6Gへ – 自律型・エージェント型インテリジェンスを実現する」では、主に次のテーマを掘り下げて講演を実施いたしました。
AIがトラフィック構造を変えつつある
モバイル業界では、ネットワーク上でデータがどのように流れるかに関して、根本的な変化が起きています。これまでネットワークは、下り中心の動画視聴に最適化されてきました。しかし、生成AIやエージェント型AIの台頭により、トークンベースの双方向トラフィックが増加し、大幅な上り容量の強化が求められるようになっています。
- 上りトラフィックの急増:ソーシャル動画のアップロードやAIトークン通信の増加を背景に、上りトラフィックはわずか1年で300%増加
- トークンベースの通信フロー:AIワークロードの拡大により、ネットワークの重点は単純なデータアクセスから、リアルタイムかつ高精細なインタラクションへと移りつつある
- SLA主導の性能要件:遠隔手術や自律型ドローンのようなミッションクリティカルな用途を支えるため、今後のネットワークには、スループットや遅延に関する保証されたSLA(Service-Level Agreements)が求められる
通信事業者が競争力を維持するためには、5G-Aがもたらす構造的な変化を避けて通ることはできません。これらの機能は、AIネイティブな6G時代の基盤となるものです。
5G-Aから6Gへの移行や、デバイスおよびトラフィックの変化がなぜ新たな機能やビジネスモデルを必要としているのかについて、さらに詳しく知りたい方は、以下のプレゼンテーション資料をご覧ください。
私たちの基調講演に続き、世界各地の通信事業者が、このモバイルAI時代における機会、課題、そして取り組み方について複数のプレゼンテーションを行いました。Zain、U Mobileなどによる講演には、特に示唆に富む内容が多く見られました。
その後、Huaweiチーム、モバイル通信事業者、カウンターポイントリサーチのアナリスト陣によるオープンなラウンドテーブル討論が行われました。議論では、通信事業者が収益化において直面している主要課題と、こうした新しい5G-Aの機能が、今世紀末までにAIネイティブな6Gネットワークへ移行する中で、どのようにネットワークの最適化と収益化に貢献できるかが中心テーマとなりました。
今後10年の終わりに向かう中で、ネットワークは手動最適化から、クローズドループ型のAI自律運用へと移行しつつあります。L3からL4へと自律レベルを高めながら、ネットワークは最小限の人手介入で、感知し、判断し、行動する、ようになります。
最終的な目標はIntent-Driven Orchestration(意図駆動型オーケストレーション)の実現です。これは、通信事業者がポリシーや目標とするユーザー体験に基づいて望ましい結果を定義すれば、ネットワーク側がその要件を満たすよう自動的に再構成されるという考え方です。このレベルの自律性は、将来のモバイルネットワークの土台になるでしょう。議論ではまた、通信事業者がOTT時代の失敗を繰り返さないために何をすべきかについても検討されました。
通信事業者の戦略:OTT時代を繰り返してはならない
OTT時代には、モバイル通信事業者は通信インフラを提供する一方で、価値の大半はサードパーティのサービス事業者に奪われました。AI時代にこれを繰り返さないために、通信事業者は以下に取り組む必要があります。
- 需要を早期に取り込む:6Gの本格立ち上がりを待たず、企業の自動化需要やAI主導の需要を先取りする
- AIネイティブな成熟度を高める:ネットワークの自律運用やエージェントを通じたサービス管理を可能にする、インテリジェントな運用ロジックを構築する
- 意図ベースの収益化を確立する:ギガバイト販売中心のモデルから脱却し、成果や信頼性を価値として提供するモデルへ移行する
- 戦略的パートナーシップを構築する:AIハイパースケーラーやインフラベンダーと深い連携を築き、主権性と安全性を備えたAIプラットフォームを構築する
6Gへの道は、単に速度を高めることではありません。社会に対してエージェントとして機能できるだけの知能を備えたネットワークを構築することこそが本質であると言えるでしょう。
*本記事は2026年3月10日に発表された記事の日本語版です。原文はこちらをご参照ください。
【カウンターポイントリサーチ社概要】
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