カウンターポイントリサーチ (英文名: Counterpoint Research 以下、カウンターポイントリサーチ)は、グローバル乗用車販売に占めるEV*比率は2030年までに36%に達し、2025年から2030年にかけて年平均成長率(CAGR)10%で拡大する見通しであるという市場予測を含むGlobal Passenger Vehicle Forecastによる最新調査を発表致しました。
カウンターポイントリサーチの最新調査Global Passenger Vehicle Forecastによると、グローバル乗用車販売に占めるEV*比率は2030年までに36%に達し、2025年から2030年にかけて年平均成長率(CAGR)10%で拡大する見通しです。2030年以降は、主要地域が成熟段階に入ることでEV市場の成長はやや鈍化するとみられますが、それでも2035年時点でEVが世界の乗用車販売に占める割合は50%に達すると予測されており、2030年から2035年にかけても年平均約10%の安定成長が続く見込みです。今回の予測は、2030年のEVシェア率44%、2035年のEVシェア率65%としていたカウンターポイントリサーチの従来予測からの下方修正であり、自動車OEM各社が昨今EV生産計画を縮小する判断を下したことを反映しています。
図1: 世界EV販売比率予測・2035年

EVにはBEV・PHEV・EREVを含む
出典: カウンターポイントリサーチGlobal Passenger Vehicle Forecast by Powertrain
現在の市場環境に関して、カウンターポイントリサーチ アソシエイトディレクターGreg Basichは次の通り述べています。
「世界の自動車業界は現在、短期的なEV戦略の見直しと、エネルギーをめぐる不確実性の高まりとの間で岐路に立っています。自動車メーカー各社は積極的なEV計画を後退させていますが、地政学的緊張や紛争は、長期的には静かに電動化の必要性を裏付ける方向に働いています。EV普及の短期的な停滞はあるものの、電池コストの低下や燃料供給の不確実性といった構造的な追い風が、その影響を相殺しています。」
加えて、業界は、変化する規制政策、EV義務化の後退、EV補助金の打ち切りにも対応を進めています。
対照的な2つの動き
グローバル自動車業界は現在、相反する2つの動きの中でかじ取りを迫られています。一方では、自動車メーカー各社が、損失拡大と想定を下回る普及ペースを受けてEV戦略を再調整しており、他方では、イランを巡る戦争が世界のエネルギー市場を混乱させており、これが長期的にはEV業界に追い風となる可能性があります。
Ford、General Motors、Honda、Porsche、Maserati、Stellantisなどの企業は、EV関連で合計700億ドルを超える評価損や損失を計上しています。その結果、複数のOEMが電動化計画の縮小や延期に動いており、Volvo Carsのように長期EV目標を見直している企業もあります。
Basichはさらに次の通り述べています。
「全体として、自動車業界は現在、市場の現実に合わせてEV戦略を調整する再編局面に入っています。欧米OEM各社はEV開発を放棄したわけではありませんが、以前の野心的な計画は大きく後退させ、より慎重で焦点を絞ったEV投入戦略を採用しています。たとえばFordは新たな共通EVプラットフォームを発表し、GMはChevrolet Bolt EUVの再検討を進めています。同時に、Stellantisは欧州でLeapmotorとの合弁事業を引き続き強化しており、VolkswagenとAudiは中国パートナーやRivianとともにEVプラットフォームを進めています。Volvoも100% ZEV目標の達成時期を2030年以降に先送りし、Mercedes-Benzは内燃機関への投資を増やしています。これは、より慎重な電動化戦略へと業界全体がシフトしていることを示しています。」
一方で、米国、イスラエル、イランの間の戦争は、中東からの石油供給に影響を与えています。長期的には、各国が輸入燃料への依存を減らそうとする中で、これがEV需要を支える要因になると見込まれます。さらに、電池価格は2030年までに70ドル/kWhを下回り、2035年には55ドル/kWhに達すると予想されています。電池は車両総コストの約40%を占めるため、これはEVコストを大きく引き下げる可能性があります。
図2: EV戦略の再設定:主要OEMの大規模評価損

※上記リストは網羅的なものではありません
出典: カウンターポイントリサーチ作成
現在の市場環境を踏まえ、カウンターポイントリサーチは、2030年時点でBEVがグローバル乗用車販売に占める割合は約25%、PHEVは約8%に達すると見込んでいます。EREVも勢いを増しており、中国以外でも東南アジアや欧州などへ広がっていくと予測されます。
技術面の見通しに関して、カウンターポイントリサーチ リサーチディレクターPeter Richardsonは次の通り述べています。
「2030年までに、電動化はさらに多様化が進み、BEVが移行を主導する一方で、PHEVとEREVが補完的な役割を果たすようになるでしょう。EREVは移行期のソリューションとして台頭しており、市場が進化する中で、従来型ハイブリッドと完全電動化との間のギャップを埋める役割を担っています。」
* 本記事で言及するEVには、BEV(バッテリーEV)、PHEV(プラグインハイブリッドEV)、EREV(航続距離延長型EV)が含まれます
本プレスリリースに関する詳細並びに情報は、こちらからご覧いただけます。
https://counterpointresearch.com/en/reports/Global-Passenger-Vehicle-Forecast-by-Powertrain-2025
*本プレスリリースは2026年4月21日に発表されたプレスリリースの日本語版です。原文はこちらをご参照ください。
https://counterpointresearch.com/en/insights/ev-outlook-revised-amid-oem-pullback-but-long-term-fundamentals-remain-strong
今回の発表は、チャネル情報、POSデータ、ディストリビューターアンケート調査、公開データなどボトムアップデータソースとトップダウンリサーチの組み合わせによるカウンターポイント社独自の調査方法で実施したものです。
【カウンターポイントリサーチ概要】
テクノロジーエコシステム全体にわたる製品を専門とするグローバル市場調査会社です。世界の主要なイノベーションハブ、製造クラスター、商業センターに拠点を構え、スマートフォンOEM、チップメーカー、チャネル企業、大手テクノロジー企業など、幅広いクライアント様にサービスを提供しています。経験豊富な専門家が率いる当社のアナリストチームは、経営幹部から戦略、アナリストリレーション(AR)、市場情報(MI)、ビジネスインテリジェンス(BI)、製品・マーケティングの各分野のプロフェッショナルまで、企業全体のステークホルダーと連携し、市場データ、業界のソートリーダーシップ、コンサルティングといった幅広いサービスを提供しています。
公式ウェブサイト: https://japan.counterpointresearch.com/